そもそもジョルジャ・メローニとは何者なのか
ここでジョルジャ・メローニとは何者なのか、改めて振り返ってみたい。
2022年、9月25日に実施されたイタリアの総選挙で、メローニが率いる右派国民保守主義政党の「イタリアの同胞(FDI=フラテッリ ディターリア)」が上院と下院で絶対過半数を獲得し、第一党となり、同年10月22日、ジョルジャ・メローニは、大統領府で「責任と誇りをもってイタリアに尽くす」と宣誓し、第68代イタリア共和国閣僚評議会議長に就任。新政権を発足させた。
イタリアに共和制が誕生してから76年後、イタリア史上初の女性首相が誕生したのである。
主要な国際メディアは、「ファシズム復活のリスク」に焦点を当て、このイタリアの新しい政治秩序が右にシフトしたことの影響と結果について分析し始め、メローニ首相率いるイタリアの右派連合が、プーチンに接近し、深刻な脅威になり得る可能性を不安視した欧州支配層は、「不和が生じる」と強い懸念を示した。
欧州右派のターニングポイントは、間違いなくメローニ首相になるだろう。彼女の持つ熱烈なナショナリズムに国民が魅了され、イタリアのナショナリズムは損なわれていないことをメローニ首相が示したのだ。
日本では極右のファシストだと誤解されているのではないか
首相自身が、「私の率いる政党『イタリアの同胞(FDI=フラテッリ ディターリア)』は、自由主義と国民保守主義(イタリア・ナショナリズム)をスローガンに揚げた保守グループである」と断言していることもあり、イタリア国民の多くは、はっきりと「愛国保守主義の政党であり極右政党とは違う」と言い、「極右政党ではない」という見方のコンセンサスが取れている。
一方、日本でのメローニ首相の印象と言えば、第二次世界大戦後に元ファシストによって設立されたイタリア社会運動(MSI)を起源とした政治思想で、青年組織に加わったという過去の経歴から、今も「極右政党」「起源ネオファシスト」「ファシスト源流」だというイメージが強く、誤解されているのではないだろうか。
メローニ首相は、次のように演説で語っている。
「自由と民主主義は現代ヨーロッパ文明の際立った要素であり、私はその中にいて常に自分自身を見失うことなく、非民主的な政権に親しみを感じたり同調したことは一度もなかったと自負しています。1938年の人種法はイタリアの歴史上、最低最悪の汚点であると常に思ってきたし、私の政権にファシズムを含む政権は存在しないと断言します」