正しい情報を得るための「検索ツール」として使わない

ChatGPTについて、ネットではよく、「歴史上の有名人について聞いたら、明らかに間違った答えを返してきた」などの話が上がりますが、「○○について教えて」「○○って何?」など、正しい情報を得るための検索ツールだと思って使うのはやめた方がいい。結構知ったかぶりして間違った情報を返してきます。

ChatGPTを使って検索や情報収集をするのはかなり高度で難しいので、情報収集やファクトチェックは人間がやるのがいいでしょう。人間が集めた情報を「入力」のところでChatGPTに与えて、その後の作業を手伝ってもらうのが、賢い使い方だと思います。

ただ、ChatGPTは、利用者が入力した情報を“学習”していくので、現時点では原則的に、個人情報や機密情報は入れないほうがよいでしょう。

仕事にどう使うべきか

これまでお話しした通り、まだ使い方にはクセがあるので、やみくもに使ってうまくいくわけではありません。仕事で使うためには、3つのステップで考えるといいでしょう。

① 用途を決める

手間がかかるところを任せて作業の時間短縮を図りたいのか、出てくるアウトプットの質を上げたいのか、など、使う目的を決めます。

② どうすれば実現できるか考える

たとえば省力化が目的なら、自分の仕事を作業ごとに細分化し、その中でChatGPTに任せられそうなところを定めます。たとえば企画の構成が苦手なら、たたき台をChatGPTに作ってもらって、その後で自分がブラッシュアップする。自分が作った企画の質を上げたい場合は、たたき台を自分で作り、ChatGPTにブラッシュアップさせます。

③ とにかく使ってみる

とにかく使ってみることです。ChatGPTはメールアドレスを登録すれば無料で使えますし、相手はAIなので何度やっても文句は言いません。「深津式プロンプト・システム」を活用して、いろいろ使ってみましょう。使うと、あっという間に使い方が上達します。

無料版でも要約やアイデア出しなどで活用できますが、より有効に活用したい方は、有料版(月額20ドル[約2500円]の「ChatGPT Plus」)を使うこともお勧めです。

提案資料のブラッシュアップ、営業トークの練習も

営業を例にとって、どのようにChatGPTが活用できるか考えてみましょう。取引先に新商品を売り込みに行くとき、以下の作業でChatGPTが役立ちそうです。

(営業活動の準備作業)
・営業のベストプラクティスを教えてもらう【回答例3】
・提案資料を作成しブラッシュアップする
・営業先のアタックリストについて、優先順位やリソース配分を決める
・電話やメールの応対のマニュアルやテンプレートを作る
・疑似顧客になってもらい、対面会話の練習をする
・会話の練習をレビューしてもらい、自分の営業スタイルや話し方、資料を改善する
 ↓
実際の営業は自分で頑張る!
 ↓
(営業訪問の後)
・議事録をまとめてレビューしてもらい、次回の計画を立てる
・日報や経費申請の書類を書く
・訪問先へのお礼のメールを書く

こう考えると10個の作業のうち、「実際の営業訪問」以外の9個はChatGPTに手伝ってもらえます。使いこなせば、アシスタントを1人雇ったのと同じぐらい、仕事が効率化したり、質を上げたりできるでしょう。

【回答例3】

撮影=プレジデントオンライン編集部