「深津式プロンプト・システム」で回答の精度を上げる

ChatGPTは、こちらが与えた前提に合致しそうな回答を返してくるので、与えた指示が漠然としていると、求めているような精度の高い回答は出てきません。つまり、ChatGPTの性能を決めるのは「人間の質問力・指示力」です。

そう考えると、欲しい答えを得るためにどんな指示をすればいいかがわかってきます。そこで、初心者向けのテンプレートとして作ったのが、「深津式プロンプト・システム」です。「プロンプト」とは、コンピューターに指示を出す入力文のことです。

このシステムは、大きく「命令書」「制約条件」「入力文」という3つの要素で構成します。

まず「命令書」では、ChatGPTに役割を与え、「以下の制約条件と入力文を基に、どんなアウトプットが欲しいのか」を書きます。「プロのライター」「大手IT企業の○○事業部長」「メーカー企業人事部の採用担当者」などの役割を与えることで、その役割になりきって回答を作成してもらいます。

「制約条件」では、アウトプットの具体的な条件を定めます。文章量、文章のトーンや難易度、ほかにも必ず満たしてほしい条件をできるだけ具体的にたくさん挙げるといいでしょう。箇条書きがお勧めです。

「入力文」は、必要に応じて入れます。求めるアウトプットを出させるために必要な情報や素材があれば、入れておきます。

例えば、夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭を要約したい場合、以下のように入力します【回答例1】。ただし、ChatGPTは、同じ指示を入れても、必ずしも毎回同じ回答が返ってくるわけではありません。

【回答例1】

赤い枠がChatGPTの回答。ただし、同じ指示を入れても、毎回同じ回答が出てくるわけではない
撮影=プレジデントオンライン編集部
赤い枠がChatGPTの回答。ただし、同じ指示を入れても、毎回同じ回答が出てくるわけではない

この例は、文章の要約なので比較的シンプルな指示ですが、企画を考えたりするなど、もっと複雑な指示の場合は、一発勝負ではなく、出てきた球に対してまた指示を出して……とキャッチボールをしたほうが、精度は上がります。

さらに、命令書の最後に「最高の結果を出すために追加の情報が必要な場合は質問してください」などと入れておけば、ChatGPTの方から質問してきます【回答例2】。

【回答例2】

命令書の最後に「最高の結果を出すために追加の情報が必要な場合は質問してください」などと入れておけば、ChatGPTの方から質問してくる
撮影=プレジデントオンライン編集部