さらに周囲の人が情報を共有し、時間が近づいたら声をかけるなど、それとなく意識してあげると安心です。お子さんの場合もスマートフォンや腕時計のアラーム機能などを活用するとよいですね。

<ポイント>
・メモを渡すと同時にスマートフォンに登録してもらう
・リマインド機能をフル活用
➡自動的に認識できる仕組みをつくろう

意識するだけでは改善しない

<自分カモ!? と思ったあなたへ 生き方のヒント>

大切な約束だったはずなのに、他のことをやっているうちについついほったらかしてしまうことは、定型発達の人でもあることです。

しかし、それが“特性”である場合、意識“だけ”で改善するのは難しいでしょう。「全部忘れず、全部守る!」と無理せず、スマートフォンを使って重要な約束を思い出す仕組みをつくりましょう。クラウド機能を使えば、万が一なくしても別の機器で対応できます。

事実を口にして周囲を怒らせてしまう

飲み会で部長の自慢話が本当に長くて、みんなも困っていた。僕はいつも事実を口にしているだけなのに、どうしてみんなから「空気読め」なんて言われるのだろう。それに、もし僕が同じことを言われても、事実だから腹を立てないと思うけれど。(28歳・男性T)

会社の部内飲み会に参加したTさん(28歳・男性)。翌日の朝、みんなの前でいきなり部長にこう言い放ちました。「昨日の飲み会、部長の自慢話長かったですね! いや~、みんな引いてましたよ」。

本人はまったく悪気はないようですが、部内に一瞬、緊張が走ります。あとで同僚から、「相手は部長だぞ。もう少し空気読めよ」と言われ、困惑したとのこと。

周りに遠慮することなく、いつも事実を口にするTさんは、ASDです。

ASDの人は人と会話をするとき、“自分が見ている事実そのもの”を重視し、人間関係などには無頓着なことがあります。相手や周りの人の表情や声の調子、仕草といった反応を読むことも苦手です。上下関係で発言を変えたりはせず、愛想やお世辞も使わないので、どうしても“空気が読めない人”と思われがちなのです。

そのため、たとえば会議の終わり際、みんなが片付けをはじめていても一人で話し続けたりして、やっぱり“空気が読めない人”と思われてしまうこともあります。

イラスト=『発達障害の人が見ている世界』より