日本の殺人事件の発生率は非常に低い
2012年のWHO(世界保健機関)の統計を参考にしてお話ししますが、日本の殺人事件数は人口10万人当たり0.4件でした。統計に参加した国194カ国中193位です。日本よりも殺人数の少なかった国はルクセンブルクで人口10万人当たり0.2件でした。
10万人当たりの殺人事件数が最も高かったのが南米のホンジュラスで103.9件です。ロシアは13.1で29位、アメリカは5.4件で93位です。中国は1.1件で171位ですが、共産党一党独裁体制の特性から見てこの数字はあてにはならないでしょう。
世界平均は8.7件です。日本という人口約1億3千万人の大国で、殺人事件数が人口10万人当たり0.4件という数字は、やはり日本が独特な文明であることを物語っています。
もう一つ例を挙げると、1859年、イギリスの初代駐日総領事に就任したオールコックは著書『大君の都』で、小田原近辺の様子を次のように伝えています。
「封建領主の圧制的な支配や全労働者階級が苦労し呻吟させられている抑圧については、かねてから多くのことを聞いている。だが、これらの良く耕作された谷間を横切って、非常な豊かさのなかで所帯を営んでいる幸福で満ち足りた暮らし向きの良さそうな住民を見て、これが圧制に苦しみ、過酷な税金を取り立てられて窮乏している土地とはまったく信じられない。
むしろ、反対にヨーロッパにはこんなに幸福で暮らし向きの良い農民は居ないし、またこれほどまでに穏和で贈り物の豊富な風土はどこにもないという印象を抱かざるを得なかった。気楽な暮らしを送り、欲しいものもなければ、余分なものもない」
「貧しい日本人」はプロパガンダが作った虚像
まさに「足るを知る」社会で幸福に生きる人々の姿です。自虐史観の日本人がよく口にする、「鎖国によって閉ざされた国で惨めに生きる科学に遅れた人々」などではまったくありません。日本人は貧しかったというのは、戦後教育と戦後マスコミのプロパガンダによる誤った認識です。
日本の豊かな海の恵みの中でのびのびと暮らす人々、のどかな田園風景の中で生き生きと暮らす人々を見た外国人たちは祖国の労働者の悲惨な暮らしを思い出し、「これでいいのか?」と自問さえしていたのです。
前述したように、日本に、支配・被支配という階層的な対立は存在しませんでした。
皆がそれぞれの持ち分で一生懸命働き、富を分かち合うというのが日本文明の特徴です。