図表3は、2022年の開成の問題ですが、2×7マスの暗号を作るという題材で、独自の条件が設定されています。問題自体は、場合の数でそこまで難しくないのですが、問われていることを読み解く力が求められます。

このように、場面設定や条件がユニークだったり、会話文形式の問題文に穴埋めをするなど出題方法をアレンジしたりしているものが増えてきたのが現状です。開成などのトップ校だけでなく中学入試全体的な傾向で、今の大学入試改革の流れとも共通します。

算数以外でも、たとえば理科では、19年に麻布で「おいしいコーヒーを入れるための焙煎ばいせん方法」について出題されました。これは熱の伝わり方の問題なのですが、理科的なモノの見方で日常のことに目を向けているかどうか、興味・関心が問われています。

デジタルも活用して効率的に学ぶ

とはいえ、親世代と比べて子供の負担がグンと増したということではありません。むしろ、効率的に学べるようになった面もあります。

大きく変化したのが学習スタイルです。20年前くらいまでは、夜12時まで部屋にこもって勉強することも珍しくなかったですが、今は脳科学などの知見を取り入れて、効率的に学ぶやり方が主流です。

たとえば、寝ている間に記憶が整理されるため、睡眠時間はしっかり取るよう指導しています。また、子供のタイプにもよりますが、静かな勉強部屋より、ちょっと人の気配があるほうが集中できるため、リビング学習のお子さんが多い。

デジタルを活用した学びも一般化しました。動画授業なら、生徒に合わせて、わからないところを見直したり、通常の1.5倍の速さで受講したりすることもできます。

四谷大塚では、AIを使って生徒の苦手単元と志望校の出題傾向を分析し、効率的に優先順位をつけて類題演習をするシステムも導入しています。私の教え子にも、受験直前期にこのシステムで1カ月、徹底的に演習をこなして、チャレンジ校の桜蔭に合格した生徒がいます。

今の子はITで学ぶことに慣れています。今年の入試直後にも、灘の入試問題の解説動画を自分で探して見ている子がいました。ネット検索で何でも教えてくれる時代だからこそ、家庭で子供を見るときも、答えが合っているかだけではなく、自分でどう考えたのかプロセスを大切に見てやってほしいと思います。