高齢者の「深酒」「大酒」は絶対ダメ

アルコール類は、高齢になっても、「適量」をたしなむ分には、何ら問題ありません。80代の人の肝臓も、適量のアルコールなら代謝できます。

ただし、「深酒」「大酒」は禁物です。

摂取するアルコール量は、若者・壮年世代でも、純アルコールにして「1日平均20グラム程度」にとどめることが推奨されています。これは、ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合程度の量です。高齢者の場合、肝臓の分解能力が落ちていますから、それ以下の量をちびちび楽しむのが賢明です。

高齢者が毎日、酩酊するほどに飲み続けると、アルコール依存症への道まっしぐらとなります。年をとると、アルコールの代謝能力が落ちるため、短期間のうちにアルコール依存が進行するのです。実際、高齢者の約15%は、「飲酒に関係する健康問題」を抱え、約3%の人はアルコール依存症状態にあります。

また、高齢者が深酒すると、疲れがとれにくくなります。肝臓が、疲労回復に役立つタンパク質の合成よりも、アルコール分解を優先するからです。そのため、体内の隅々までタンパク質が行き渡りにくくなり、いつまでも疲労感が続くのです。

ともかく、若いころと同じような調子で、飲み続けないことです。足がふらつくまで飲んだりすると、ころんで、大ケガを負うリスクも高まります。一夜の酩酊が寝たきり生活を招きかねないのです。

老化した肝臓でもアルコールを分解して飲む方法

そこで、「それでも飲みたい」という左党には、「アルコール濃度をなるべく低くして飲む」ことをおすすめします。飲む液体量は多少多くとも、純アルコール量は増やさないという飲み方です。

和田秀樹『80歳の壁[実践篇]幸齢者で生きぬく80の工夫』(幻冬舎新書)

たとえば、ウイスキーや焼酎など、アルコール濃度の高い酒を飲むときには、なるべく多めの水やお湯で割って、アルコール濃度を低くして飲みます。濃度を低くするほど、純アルコール量を減らせるとともに、老化した肝臓でも、アルコールを分解しやすくなります。

一方、日本酒など、割っては飲めない酒は、水と一緒に飲むといいでしょう。アルコールには利尿作用があるため、酒だけを飲み続けると、水分不足になります。水と一緒に飲むと、血中アルコール濃度の上昇を防げるうえ、水分不足に陥らず、悪酔いもしにくいのです。

と申し上げても、「水と一緒になんか、飲めるかい」という人には、せめて「水分多めのさかな」を食べながら、飲むことをおすすめします。そこまでの左党なら、野菜スティックを食べながら飲むと、酔いが回りにくいことは、経験的にご存じでしょう。

それは、野菜に含まれている水分を摂取しながら、飲んでいるからです。野菜スティックや豆腐を肴に飲めば、多少は血中アルコール濃度の急上昇を防ぐことができます。

写真=iStock.com/kuppa_rock
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