本当に自分を大切にしてくれる友人が欲しい

SNSが異常なほど発達したせいで、私たちはついに、「リアルでは知らない人」とつながることが可能になりました。

Z世代の若者にとって、インスタグラムで面識のない「友達の友達の友達」をフォローするのは当たり前。TikTokで全く会ったことのない同世代の人たちと交流するのも当たり前です。SNSで知り合った人とリアルで会うことも多くなりましたが、交友関係は昔より広くなった分、浅くなってしまったと思います。

写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

だからこそ、本当に自分を大切にしてくれる友人が欲しい。交友が広く浅くなりすぎたがゆえの反動として、今は親しい人との絆の深化へと揺り戻しが起きていると、僕は考えています。この心理のもとで、「友達推し事」や「いつメンSNS」は表れたのでしょう。

Z世代のトレンドは、上の世代からは理解できない不思議なものが多いです。しかし、若者たちは、SNSの発達やコロナ禍で奪われた友情を必死に築き直そうとしているのです。

若者の間で「友情格差」が広がっている

とはいえ、Z世代の全員がSNSを使いこなしているわけではありません。人とのコミュニケーションが苦手で、はやりに乗るのが恥ずかしく、SNSに手が出せないという子たちは、サイレントマジョリティーかもしれないのです。

実際に僕が教えている大学では、最近までオンライン講義が続き、「入学以来リアルな友達が一人もできない」という学生も少なくありません。人間関係を再生させることもできず、孤独感を深めている若者たちが大勢います。

昔なら何も苦労せず、ただ生きているだけで手に入っていた「深い人間関係」は、もはや当たり前のものではなくなってしまいました。深い人間関係が築ける若者と、築けない若者――両者の間には、深刻な「人間関係格差」が生まれているのです。

(構成=奥地維也)
関連記事
懐かしの「折りたたみ式ケータイ」に乗り換える高校生が続出…ジワジワ広がる「スマホ疲れ」という本音
なぜTikTokに「若いころの父親の写真」を投稿するのか…Z世代が得意とする「間接自慢」というお作法
「これからもずっとマスクを外したくない」児童5000人調査でわかった子どもたちの切実な思い
1247万回再生だったのに収益は328円…ユーチューバーが「稼げない仕事」に激変してしまった根本原因
銀座ママが「LINEを交換しよう」と聞かれたときに必ず使う"スマートな断り文句"