算数好きには「マイルール」がある

難しい計算問題をいとも簡単に正解した子に、「どうやって解いたの?」と尋ねることがあります。すると、今言ったような頭の中のイメージや分配法則の工夫を話してくれるのですが、そういうときの目はキラッと光っています。その子にとってみればゲームの攻略法について語るようなものですから、楽しくて仕方ないのです。

西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)

たとえば、円周を求める問題を解くとき、ある程度の成績以上の子は、円周率の3.14を筆算式の上に書いて掛け算をしていきます。できる子はほぼ100%そうしていますし、実はこのような計算の際のマイルールをもっています。

算数が得意になっていく子は、計算の作法に則ったルールを大活用していくなかで、このやり方でやればもっと間違いが少なくなるしラクに解けるということを経験しながら、「マイルール」を見出していけるのです。

理系のベースになるのは論理的思考力ですが、それは確かな計算力があってこその論理的思考力です。確かな計算力というのは、正しいルールに則った考え方、解き方といった基礎訓練的な部分が重要になってきます。

基礎を強固にしたうえで、マイルールという自分なりの法則を見出せたら鬼に金棒。みんながみんないきなりマイルールを見出し、目をキラキラさせながら算数の問題を解くようになるわけではないでしょうが、子どものちょっとした発見に対して「そんな良い方法をよく見つけられたね!」と驚いてあげてほしいのです。その後、「ルールって便利だね」と言葉を添えていくような会話が子どもの探求心を育てます。

関連記事
【第1回】小5なのに…算数「リンゴやミカンの文章問題は解けるが、ナシとイチゴに替わったら解けない」理由
【第2回】九九は完璧なのに…「一皿いちご8個、三皿で何個?」で掛け算の発想ができない"小学生あるある"の克服法
大問5の(4)が合否の分かれ道…開成中の入試で"算数が得意で頭のキレる子が不合格"になった世紀の大誤算
20年後に"食える子"の親は今何をしているか…経営学者が示す食いっぱぐれないための"最低限のスキル"
子どもに月経や射精について話すときに「絶対使ってはいけない言葉」2つ