計算が得意な子はどのように頭を使っているのか。プロ家庭教師「名門指導会」代表の西村則康さんは「算数が好きで伸びていく子には『25×4=100ってめっちゃ便利』という感覚があり、計算問題を前にしたとき、何とかラクできないか、工夫できないかといつも虎視眈々と狙っています」という――。

※本稿は、西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)の一部を再編集したものです。

「25×4=100ってめっちゃ便利!」

3年生の算数では「暗算」の単元があります。足し算、引き算から始まり、比較的簡単な掛け算や割り算へと進みます。

たとえば「37×7」を暗算で計算するとしましょう。ある子は、教科書で最初に習ったとおり、一の位の7に7を掛けて49、十の位に4繰り上がったのを覚えておいて、30×7=210だから、210に49を足して259と、頭の中で筆算をする確実な方法で解きました。

また別の子は、37という数字の30を見て、30が7個あるのだから30×7=210。一の位の7に7を掛けて、7×7=49。それらを足して210+49=259と考えました。

どちらも正解できましたが、両者は何が違うでしょう。前者が「地道にコツコツ派」だとすると、後者は「工夫してラクしよう派」です。算数が好きになって理系に強くなっていくのは、後者のタイプです。

お子さんの勉強のやり方を見てあげてみてください。「36×25」という問題をどんなふうに解いているでしょう。算数が伸びる子は、問題の中に25があったら必ず4を探します。当たり前のことですが、「25×4=100」です。この場合は36に4が隠れていて4×9=36ですから、9×100で答えは900です。

算数が好きになる子はこういうとき、「25×4=100ってめっちゃ便利!」と、ゲーム感覚で楽しみながら解いています。「ぷよぷよ」というぷるぷるした物体を消すゲームがありますが、あの感覚で計算している感じです。

25パーセントを意味する木製のブロックから作られた黄色、青、緑と赤の円グラフ
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