計算の作法に則った「ルール」を活用できる子は強い

子どもにとって、25×4が100になるということはものすごい発見です。このめちゃくちゃ便利なツールを使わない手はないだろうとワクワクするような子は、25×4が100ということは250×4は1000だから、250の半分の125を8倍したら1000になるということにも気づき、どんどん利用していきます。

たとえば、「24×125」の計算は、1000[125×8]としてそれに3を掛けて3000。「46×73+54×73」は、46と54で100になることに目をつけて「100×73=7300」と瞬殺です。

計算しやすいように数字を分解したり、まとめたりすることを分配法則といいます。分配法則といえば難しく聞こえますが、要は計算の仕方の工夫です。算数が好きで伸びていく子は、計算問題を前にしたとき、「ラクできないか」「工夫できないか」といつも虎視眈々たんたんと狙っています。

低学年の算数では、「25×4=100」のような便利なツールや、さまざまな「計算のルール」を教わります。掛け算で筆算をするときに末尾の0を除いて掛け、答えの末尾に0をつければ計算を簡単にできること、掛ける順序を変えても答えは同じになること。

こうした計算の作法に則った計算のルールを使えば使うほど、計算は速く、ラクになります。その便利なツールや計算のルールにパッと飛びつき、大活用する子がいる一方、なかなか踏み出せない子がいます。

「やっぱり前から順番に計算していくのが一番確実だ」というところから一歩踏み出せず、腕力でガリガリやっていこうとします。どうしたらラクに計算できるか、その工夫をしようという気持ちがある子とない子、気持ちがあっても勇気が出せない子がいる、その原因は何だと思われますか。

おそらく、そういう工夫ができるということの実感がないんだと思います。37と聞けば、「30と7」と考えて問題を解く手がかりにできる子は、まず頭の中に10のかたまりが3つ並んだ物体のようなものが浮かぶといいます。また、計算問題の数字に25を見つけたらすぐに4を探すような子は、頭の中に円グラフや丸いパイのような画が出てくると言ったりします。それを4つに分けて25だったら4つで100だから、1パーツをさらに半分にしたら8つになるという実感をもって解いています。

数のボリュームをイメージする力が支えになって、いつも前から腕力でガリガリやっていく計算から一歩踏み出す勇気を与えてくれるのです。