安いものには理由がある
よく「安いものには理由がある」という言葉を耳にするが、住宅ローンの金利の低さについてもこの言葉はあてはまる。
3つに大別される住宅ローンのうち、「全期間固定型」は、融資実行時の金利を返済期間中にわたり適用するしくみのため、世の中の金利が上昇していったとしても住宅ローンの適用金利は変えず、金利アップ分は金融機関持ちになる。対して、「変動金利型」は、金利のアップ分は住宅ローンの借入者側が負うしくみになっている。
主流の「変動金利型」に特徴的な2つのルール
そう聞くと不安に思う人もいるため、多くの「変動金利型」では「5年ルール」と「1.25倍ルール」というしくみが組み込まれている。
単純に考えれば、もしも金利が上昇すると、利息負担が増えて毎月返済額も増えるものと考える人も多いかもしれない。その上、「変動金利型」は金利を年2回見直すところが主流で、その度に毎月返済額が変わると、家計管理がしづらいと感じるのではないだろうか。そこで、多くの金融機関が「変動金利型」の住宅ローンに組み込んでいるのが「5年ルール」だ。たとえ金利が変動しても、5年間は同じ毎月返済額にすれば、家計管理もしやすくなる。
とはいえ、金利がアップすると、当然に、帳尻を合わすために、次の5年間の毎月返済額は上げざるを得ない。あまりにも毎月返済額が大幅にアップするのはキツイということで、多くの金融機関で「変動金利型」に「5年ルール」と合わせて組み込んでいるのが、「1.25倍ルール」だ。これは、直前の5年間の毎月返済額の1.25倍までに抑えるというものだ。
だが、家計への配慮から「変動金利型」に組み込まれた「5年ルール」と「1.25倍ルール」が、この金利上昇局面においては裏目に出て、最終的に家計を追い詰めることはあまり知られていない。