「ペットボトル水のほうが健康にいい」は間違い

一方、ペットボトル水は、フィルターで除菌や加熱殺菌などの処理をしてペットボトルに詰められた水である。ペットボトル水の基準を定めているのは「食品衛生法」で、清涼飲料水という大分類の下に入っており39の水質基準項目がある。水道水とペットボトル水は、どちらがよりクリーンか。水道水は「水道法」で、ペットボトル水は「食品衛生法」で管理されている。

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どちらが、より厳しいのか。水質基準の対象となる有害物質は水道水の51項目、ペットボトル水の39項目。水道水のほうがペットボトル水よりも厳しい。両者で共通する項目は鉛、ヒ素、フッ素、ホウ酸、亜鉛、マンガンで、その基準値をくらべると、どの基準値でも、水道水はペットボトル水よりも厳しい。そういうわけで、ペットボトル水は水道水よりも健康にいいというのは間違いである。

日本のミネラルウォーターは、味においても、健康面においても水道水に優っているわけではない。それでも、私たちが500mLにつき約100円を支払ってミネラルウォーターを購入する理由は、便利さはもちろんであるが、ボトルに入っているとより安全という安心感にあるのかもしれない。

「水分補給で肌が潤う」は間違い

【神話】
水をたくさん飲むほど皮膚が健康になって、肌がきれいになる

すべすべした肌に関心のある人なら、体内に潜む毒素を洗い流し、肌を健康に保つために、たくさん水を飲むように、との熱心な勧めを聞いたことがあるに違いない。

【科学的検証】
ウソである。

人体は水でいっぱいである。赤ちゃんは75%、つまり大部分が水でできている。それが、成人だと65%、老人だと50%というように、歳をとるにつれ、体から水分が減っていく。歳をとると、人体からみずみずしさが失われていくのは、まぎれもない事実である。それなら、たくさん水を飲んで、みずみずしくなろう、そう期待したくもなる。

たくさんの水がどれくらいを指すかは、人によって異なる。アメリカを発信地とするアドバイスは「1日8杯の水を飲む」であるが、より気温の高い地域に住む人々は、汗をより多くかくので、これを補うためにより多くの水分を摂取するように、と親切なアドバイスが加わる。しかし、飲むべき水の量は別として、このアドバイスの基礎となる原理はどれも同じである。

すなわち、さらなる水分補給によって、肌に水分を加えるというもの。水が加湿剤として働くという論法である。よく耳にする考えであるが、驚くことに、これを支持する科学的根拠は存在しない。