新しいフェミニズムの時代だが「フェミ叩き」も
古よりフェミニズムはバックラッシュの歴史だ。ノルウェーの児童書『ウーマン・イン・バトル 自由・平等・シスターフッド!』(合同出版)に描かれているように、自由と権利を求めて闘った女性たちの多くが逮捕されて投獄されて拷問された。
日本で参政権を求めた女性たちも「イカれた女たち」と激しいバッシングを受けたし、2000年代にはフェミニズムに対する本格的なバックラッシュが始まり、ジェンダーフリーバッシングの嵐にさらされた。
フェミニズムの波が来ると、それを潰そうとする波が来る。2017年に伊藤詩織さんの告発があり、その後#meTooやフラワーデモが全国的な広がりを見せた。今は第四波フェミニズム、SNSを使った新しいフェミニズムの時代と呼ばれていて、同時にフェミ叩きも広がっている。女が自由や権利を求めるのが許せない人間は古今東西存在するのだ。
私も昔は叩かれるのが怖くて、フェミニストを名乗ることに抵抗があった。でも私たちが進学して就職して選挙に行けるのも、バックラッシュに負けず闘ってくれた先輩たちのおかげである。そんなフェミニストたちに感謝して、次世代にバトンをつないでいきたい。
そんな思いでやっとりますが、最近はヘルジャパンにバチギレつつも希望を感じている。20代の頃はフェミニズムの話ができる友達がいなくて孤独だったけど、最近はフェミに目覚める人がどんどん増えてフェミ友がいっぱいできた。1人でバチギレるのは寂しいけど、一緒にバチギレる仲間がいると楽しいし心強い。
フェミニストが憎むのは「男性」ではなく「性差別」
また若い世代ほどジェンダーに関心が高く、大学生にはジェンダーの授業が大人気だそうだ。私が中高生に授業をする時もみんな熱心に聞いてくれて、質問もたくさんしてくれる。
授業後のアンケートでは「フェミニストのイメージが変わりました」という感想をよくもらう。
「フェミニストに対して『男嫌いの過激なツイフェミ』というイメージを持っていました。よく知らずに誤解していた自分を反省しました」と高校生の男の子から感想をもらって、冥土の土産にしよう……と涙した。
なんでも冥土の土産にしたがるお年頃の私だが、冥土に旅立つ前にフェミニズムに対する誤解が少しでも解けると嬉しい。
古よりフェミニストは「男の敵」「男嫌い」とレッテル貼りされてきたけど、フェミニストの敵はセクシスト(性差別主義者)だ。フェミニストが憎んでいるのは「男性」ではなく「性差別や性暴力」であり、その構造やそれに加担する人々だ。
フェミニズムにネガティブなイメージを持っている人も、試しにジェンダーを学んでほしい。それで少しでも生きやすくなる人が増えれば、こんなに嬉しいことはない。