主要先進国との技術格差は大きい
ロシアの自動車メーカーはイランから部品調達を目指しているが、主要先進国との技術格差は大きい。人々の欲求を満足させることができるとは考えづらい。わが国からロシア向けの中古車輸出が増加している背景にはそうした事情も影響していると考えられる(なお、経済産業省は600万円超の自動車の対ロ輸出を禁止)。
また、制裁の一環として米国は戦略物資として重要性が高まる半導体などの対ロ輸出を禁止した。輸入した中古車などのメンテナンスも一段と難しくなるはずだ。ロシアが軽工業や機械産業などの育成よりも石油化学工業などの発達を優先したため、日用品や工作機械の供給も難しくなるだろう。
ロシアは中国からのチップ輸入を増やして苦境を耐えしのごうとしているようだが、中国のロジック半導体の生産能力は十分ではない。中長期的に世界経済の中でロシア経済のデジタル化も遅れざるを得ないだろう。それは、ロシア国内での個人消費や設備投資を一段と減少させ、経済と社会の閉塞感は一段と増すものと予想される。