事業者が利益を得るための制度ばかりが変わっていく
政府は1月27日、通園バス園児置き去りの再発防止のための調査結果を公表した。通園バスをもつ保育園などのうち約2割に乗降時の子どもの安全管理に課題があったとしている。4月からは通園バスに安全装置の設置が義務付けられるが、問題の本質は保育士不足や保育の質の低下であり、保育士の労働条件の改善こそが急務の課題だ。
4月にこども家庭庁が発足する今こそ、最低配置基準の引き上げを行い、それと同時に前述した「委託費の弾力運用」の規制を強化して人件費の流出を食い止めなければ、保育士の労働環境は変わらない。保育士が守られなければ、犠牲になるのは子どもたちだ。
この国は、保育事業者が利益を得るための制度は次々に変えていくが、保育現場で子どもが命を落としても、子どもにとって必要な制度は変わらない。保育は児童福祉法に基づく福祉行政の一貫として行われていることを忘れてはならない。