システムは手段であって目的ではない
「例えば伝票をスマホで撮影して数字を入力するアプリがあるとします。アプリ使用料はわずかなお金かもしれません。しかし、うちはすぐに導入はしません。
伝票を見て、入力しなければならない項目はどれだと分析する。そして、いらない項目は入力しなくていいわけですから、その伝票から項目をカットする。よくよく考えて伝票自体が要らなければなくすことも考える。その作業を最初にやってから、DX化に移ります。トヨタのDX化はどこでもやっているDX化とはちょっと違うのです。
システムはお金をかければかけただけメンテナンス費がかかってきます。メンテナンス費は投資金額に比例するんですよ。いかに最初の投資を抑えるか。するとメンテナンス費も抑えることができる」
トヨタの工場へ見学に行くと尾上さんの言っていることがよくわかります。なんでもかんでも高性能、高機能、最新式の機械を導入しているわけではありません。エレベーターを入れるのでも、簡単に導入するわけではないのです。
「エレベーターより階段にしておいて、階段を上り下りしたほうが健康にいい」
「電気代の節約、ひいては脱炭素につながる」
「何よりエレベーターよりも安いし、メンテナンス費がかからない」
「ただし、ハンディキャップのある人のために最小限のエレベーターは用意する」
エレベーターをつける時でも、考えてから設備を導入する会社なのです。