輸入小麦に頼りきりの日本の「弱さ」

パンや菓子、即席麺の原料となる小麦価格が上昇していることはすでに述べた通りですが、日本の場合、小麦は9割を輸入に頼っており、海外で小麦の価格が上がってしまうとどうしようもありません。

小麦は国民生活にとってきわめて重要であり、政府は小麦の安定供給を実現するため、輸入小麦について全量を買い付け、製粉企業などに売り渡す制度を実施しています。

政府が民間に売り渡す価格は、過去6カ月間の平均買い付け価格を基準に、年2回見直しを行います。したがって小麦の価格が上昇したり、円安で買い付け価格が上昇した場合には、半年の時間差で民間企業の仕入価格に反映されることになります。しかしながら、政府はあくまで取引の間に入るだけであり、急激な価格上昇を緩和する機能しか持っていません。

日本は小麦だけでなく、食品の原材料の多くを輸入に頼っていますから、当然の結果として為替の影響を大きく受けます。2022年に入ってから、円安傾向が顕著となっており、これも値上がりに拍車をかけています。では、日本国内で生産しているコメや牛肉は、海外の価格上昇や為替の影響を受けないのでしょうか。

国産米でも海外の影響を受ける理由

輸入食材と比較すると、国産の米や牛肉は海外の影響を受けにくい商品ではありますが、まったく無関係というわけにはいきません。

たとえばコメを作るには、多くの農作業が必要となりますが、今の時代はほとんどが機械化されており、田植機やコンバインなど各種農機具を動かさなければなりません。そのためにはガソリンや軽油などの燃料が必要となりますし、輸送などにもエネルギーを使います。

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コメの販売価格のうち20~25%は燃料代、輸送代、パッケージ代などで占められています。日本は石油のほとんど輸入に頼っていますから、国産のコメであっても、エネルギー価格の高騰や為替の影響を受けてしまう図式です。