膨らむ支払いが重くのしかかる

あとは、旧自宅マンションを売るだけである。

自分たちは引っ越してしまい、物件は空室になったため、「売れやすいだろう」と思ったが……引っ越しから3カ月経ってもやはり売れない。

毎月、年金から新居の住宅ローンの返済と、新居と旧居2物件の管理費等の支払いが続く。あいにく退職翌年ということもあり、住民税と国民健康保険料の支払いも重くのしかかる。生活がキツくて仕方がない。

「住宅ローンの見直しをしたい」と金融機関にも相談に行ったが、固定金利が急に上がってきていて、「借りたときよりむしろ金利も高くなりそうだ」という返事だった。

60代の住宅ローン破綻が増えている

茂さんが恐る恐る「万が一、住宅ローンが支払えなくなるとどうなるの?」と聞くと、相手は感情を見せずに冷静に答えるのだった。

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催告状・督促状が届き始め、個人信用情報へ事故記録が掲載される(いわゆるブラックリスト登録)。その先は、任意売却するか、差押通知が届き、保証会社から競売を申し立てられるか……。

実は、同じようなケースが多く、最近は60代の住宅ローン破綻が増えているという。どちらにしろ、大変な思いをした新居マンションがなくなる、ということだと茂さんは理解した。

ついに管理費を滞納…

世の中のインフレが進み、食費などは値上げラッシュ。年金生活者になった荒木夫妻は、生活費すら余裕がなくなってきた。

なんとか住宅ローンは頑張って返済し続けているが、先日、とうとう管理費等を滞納してしまった。管理会社からはさっそく督促状が届いた。管理費等を滞納していることで、マンションに住むことも負い目になりつつある。

「生活費の足しになれば」と、夫婦2人でバイトを探し応募しているが、年齢のためか応募できる職種も限られ、なかなか決まらない。