あまりやらないほうがいい3つのこと
一方で長期投資家、特にS&P500などのインデックスに投資している方が「あまり」やらないほうがいいことは3つあります。
1.今、現金比率を高めること(タイミングを計った投資戦略)
たとえば、初心者が株価の下落や周囲の雰囲気にのまれ、感情、感覚によって現金化する行為は、できればやめたほうがいいと思います。リスクを取りすぎていたと感じる人もできれば今は踏ん張って、平時となり市場が落ち着いてから、また次の危機に備えて資産配分を考え直すのが良いでしょう。
今、現金比率を高めるのは市場がより下がることに賭けるということにもなります。しかしながら、今後どうなるかわかりません。株式比率を下げることで反発後の上昇の恩恵を受けられない可能性があります。
1987年から2018年末までS&P500指数に投資をした場合、リターンは年率11.20%(ドルベース)。最初に1万ドル投資した場合、最終的には20万1704ドルとなりました。
しかし、同期間のS&P500指数が上昇した上位数日を逃した場合の年率と1万ドルはそれぞれ以下のようになってしまいます。
・上位20日を逃した場合年率5.90% 6万2395ドル
・上位30日を逃した場合年率4.30% 4万1073ドル
たった10日間逃しただけで、ほんのわずかの間市場にいなかっただけで、こんなに差がついてしまうのです。タイミングを計って株式市場から出ることは、一見賢明に見えますが、それはうまくいくこともあればいかないこともある戦略です。
タイミングや先行きを予測して市場から出たり入ったりするのではなく、長期間資産を株式市場に配分し続けることが、長期的にS&P500等へ投資をする際の基本となります。
バンガードの調査によると、コロナショックの際、現金化した投資家のほとんどが、下落前の資産配分を維持していたほうが、結局よいリターンを手にすることができたということがわかっています。
株が下落した後安値で株を売り現金比率を高め、値上がりした後で株やリスク資産を買う。これでは安値売りの高値買いを繰り返すばかりで、ただ黙って市場にいた場合に得られるはずだったリターンを自ら押し下げてしまう可能性につながります。
米国ダルバー社の調査によると、2013年末時点から過去30年間のS&P500指数は年率11.11%のリターンだったのに対し、S&P500に連動する投資信託の保有者の平均リターンは3.69%と大きく劣っていたことがわかっています。
この間ただ黙って市場に居続ければ、S&P500に投資をしている投資家は30年間で、資産を約22倍にすることができたのですが、S&P500に連動する投信を保有していた平均的な投資家は、途中で売買を繰り返したため3倍程度にしかすることができませんでした。
2.金を買うこと
こういう時期はブログの読者から「金」について質問をよくいただきます。短期的な視点やトレードは別ですが、長期的にPFに組み込んでリスク分散を図りたいというのであれば、今買うのではなく平時に買うのが良いと思います(投資をしたい方は価格が落ち着いてから適切な比率を組み込むのが良い)。
資金が小さいとコスト負けすることもありますし、ある程度の比率で投資しないと分散効果も言うほど期待できなかったりもしますから、自分の目的や環境もよく考えて投資をしましょう。
3.ショート・CFD・オプション、レバレッジなど
日ごろからやり慣れている人ならまだわかります。しかし、初心者の方が損失を取り戻そうと普段やり慣れないことに急に手を出しても簡単に勝てるとは思えません。
生兵法は大けがのもとと言いますが、元々慣れた方でも難しいのに、わざわざこの難しい時期と相場環境でデビューする必要があるのかとも思います。運よくうまくいくこともありますが、下手を打てばあなたの資産状況はより悪くなりますし、市場には、プロも含む、あなたよりも知識や経験やスキルや良い環境にいる「相手」がいるということを忘れないようにしましょう。