セガールは加担の有無について「沈黙」を貫いたが、ブルームバーグは、報酬の3分の1にあたる33万ドルの制裁金の支払いに当人が同意したと報じている。ところがSEC側の弁護士によると、このうち7万5000ドルのみを支払い、残りは延滞しているという。記事は、ロシア移住には制裁金逃れの算段があったとの見方を示している。

軍事ニュースサイトの「ソフリプ」は、SECとの和解案を反故にしたことで、アメリカへの再入国時には「逮捕という結果になる可能性もある」と指摘している。

劇中ではロシアの悪党を相手に果敢に闘ったセガールだったが、現実世界ではロシアに匿われる皮肉な展開を迎えている。

「最も偉大な指導者」とプーチン氏を絶賛

ドイツ国営メディアのドイチェ・ヴェレは、セガールが2013年のロシア国営TV「ロシア・トゥデイ」(現「RT」)にて、プーチンの指導力を絶賛したと報じている。「今日存命のなかでは世界で最も偉大な指導者であり、仮にそうでなくとも、最も偉大な指導者のうちのひとり」であると発言した。

スティーブン・セガールと会談するウラジーミル・プーチン大統領(写真=ロシア大統領府/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

セガールは武術愛好家という共通点を通じ、プーチンに惹かれていったようだ。米CBSニュースは2014年、セガール本人がロシアのTV番組で語った内容を報じている。「初めて彼(プーチン)の家に招かれたとき、柔道の創始者である嘉納治五郎の等身大の像がありました。だから一瞬で心を奪われると同時に感銘を受け、この男(プーチン)をもっと深く深く知りたいと思うようになったのです」

プーチンの盟友に対しても、リップサービスを欠かさない。英エクスプレス紙は今年4月、セガールが自身の誕生会にプーチンの側近らを招き、「みんな、愛していますよ」と述べたと報じている。

スピーチのなかでプーチン側近らに「私の家族であり友人です」と呼びかけ、「ここに迎えられて嬉しい」「みんな、愛しています。よき日も悪き日も、ともに立ち上がりましょう」と団結を誓ったという。

「クリミア併合は非常に合理的な一手」と公言

ロシア愛はとどまるところを知らない。2016年にはアメリカ国籍を保持したまま、新たにロシア国籍を取得した。プーチンから直々にパスポートを渡されたようだ。この措置に恩義を感じてか、ロシア擁護の発言は加速してゆく。英ガーディアン紙によると、セガールはロシアによるクリミア併合を支持し、「非常に合理的」な一手だと述べている。