止まれずに「群れごと溺れた」セントロサウルス

「セントロサウルス」は、角竜類の一つです。全長は5メートルほど。鼻の上に1本のツノがあり、後頭部には広いフリルがありました。このツノは、何かに刺すというよりも、何かを突き上げることに向いていそうです。

土屋健『ほんとうは“よわい恐竜”じてん それでも、けんめいに生きた古生物』(KADOKAWA)

セントロサウルスは、とても大きな群れをつくっていたことで知られています。その規模は、数千頭レベル! 想像してみてください。現代日本の道路を走っている一般的な自動車と同じか、それよりも大きな角竜類が、数千頭も群れを組んで移動しているのです。

もしも、あなたが大型の肉食恐竜だったとしても、とても怖くて近寄ることはできなかったはず。万が一にでも、その群れに踏まれてしまったら、間違いなくペシャンコにされてしまうでしょう。

そんなセントロサウルスですが、あまり泳ぎが得意ではなかった可能性があります。白亜紀のカナダにあった広い川を渡ろうとして、群れごと溺れてしまった。そんな化石が発見されているのです。

次から次へと川に入り、でも、溺れてしまう。大きな群れだから、先頭が溺れても、いきなり「全員止まれ!」とはいかなかったのでしょう。大きな群れをつくって肉食恐竜に襲われなかったとしても、その群れごと溺れてしまう、という危険もあったのです。

いかがでしたか? 「強さ」に注目が集まりがちな恐竜。でも、「リアルな生き様」を知ると、古生物たちの存在をより身近に感じませんか?

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