この結果を受けてテレグラフ紙は、「『自然のまま』とする若い女性が増えており、ほぼ4人に1人が脇の下を剃っていない」と報じている。無回答を加味するときっかり4分の1が剃っていないとは断定できないが、いずれにせよ「処理する派」の減少ペースには目を見張るものがある。

この調査は2度とも、新型コロナのパンデミック以前に行われている。カナダのトロント・サン紙はヨーロッパの動向として、巣篭もり期間に脚など体毛を処理しない女性がさらに増えるようになった、と肯定的な文脈で報じている。

2016年時点ですでに4人に1人の若い女性たちが毛の処理の価値を見出せていなかったが、外出機会の減った今ではなおこの傾向が加速しているとみてよさそうだ。

話題になったカミソリのメーカーの意外な戦略

ただし、現時点では女性が体毛の手入れをするのは「当然」との考えは依然として根強い。「処理しない派」の人たちは相応の勇気が求められそうだが、逆風に抗うセレブや女性たちに、意外な味方が登場した。カミソリメーカーだ。

イギリスでカミソリなどボディケア用品を販売するブランドの「ビリー」は2018年、わき毛など体毛を処理するか否かは個人の自由であるべきだ、と訴える広告キャンペーンを展開して話題を呼んだ。

メーカーの立場としては、たくさん剃って頻繁に買い替えてもらったほうが収益は上がるはずだが、あえて剃毛にプレッシャーを感じる女性顧客たちに寄り添う立場を示した点が斬新だ。

同ブランドの共同創設者であるジョージナ・グーリー氏は、米ビジネス誌の『ファスト・カンパニー』にこう語っている。「もしあなたが剃りたいと思うなら、私たちは最高のカミソリを揃えています。けれど剃りたくないなら、それでもあなたを賛美したいのです」

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米誌「女性は生涯で310万円を費やしている」

『ファスト・カンパニー』誌は一般的なデータとして、女性たちが脇を含めた体毛を処理するため、生涯で平均2万3000ドル(約310万円)を費やしているとの推算を報じている。一生を通じてみると、それなりの額の出費だ。

もちろん、無毛の状態を好む人々が個人の判断で処理をするなら、十分に価値のある投資といえるだろう。しかし、本人が体毛の処理を望んでいないにもかからわず、社会的規範によって強制されているケースでは、時間もお金ももったいない行為だ。

なにより、体毛があることは恥ずかしいのだという固定観念は、不要な萎縮を招くという意味で有害だ。ビリー社のキャンペーン広告の動画は、「でももし、いつでもいいから、もしかして、剃りたくなったら、私たちはここにいるよ」と締めくくっている。

このキャンペーンの秀逸な点は、カミソリは強制ではないとのメッセージを力強く打ち出しながらも、必要なら頼ってほしいと述べ、顧客に選択権と安心感を与えた点にあるだろう。