「長時間労働は善」という洗脳が人を破壊する

氷河期世代によくあるブレインロックが、「長時間労働こそ善」というものです。

勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)

氷河期世代が社会に出た当時、教育係を担ったのはバブル期入社の先輩たちです。彼らの働き方を象徴するのが、「24時間働けますか」という栄養ドリンク剤のCMコピーです。

「残業するほどやる気がある」
「睡眠時間を削って働くのが普通」
「体の具合が悪くても会社は絶対に休まない」

私生活を犠牲にしながらハードに働くことが「当たり前」という価値観が刷り込まれた氷河期世代は少なくありません。そのために、健康や家庭を壊し、ドロップアウトしていった人たちもたくさん存在しています。

ひどい場合には、過労によるうつ病などの精神障害や自殺に至るケースも少なからずありました。現在も、ときどきそうした報道を見聞きすることがあります。

氷河期世代が真っ先に捨てるべきブレインロック

「長時間労働こそ善」というブレインロックによって、健康を損なうだけでなく、後戻りできないほど心を病んでしまったり、命を失ったりすることさえあるのです。まさしく、人生を大きく狂わせる、危険な社会的洗脳です。

このようなブレインロックを持った人が、管理職である場合、自分自身だけでなく、部下の人生や健康を破壊してしまうことにもなります。

実際、いまだに部下の時間や気力といったリソースを必要以上に削ることに対して躊躇ちゅうちょのない氷河期世代の管理職が少なくありません。そのため、私は氷河期世代に最優先で解除してもらいたいブレインロックとして、警鐘を鳴らし続けているくらいです。