英国が進める教育輸出の一環

こうした英国の富裕層向けの学校が、日本で立て続けに開校します。

2023年に千葉県柏市の千葉大学のキャンパス内に開校予定のラグビー校と、東京小平市に開校予定のマルバーン・カレッジが開校。そして、つい先日もノース・ロンドン・カレッジが日本校をつくるためのパートナー募集を発表しました。

なぜ、いま日本なのでしょうか。

もともと英国系のインターが不足し、日本に駐在した際に通わせる学校がないことにイギリス人自身が困っていたこと。これに加えてEU離脱の議論が始まった頃から、イギリスが国家戦略として教育輸出を進めてきた経緯があります。

英国系インターで学んだ富裕層の子どもたちは、イギリスに親しみを持つようになります。カリキュラムの面からもオックスフォードやケンブリッジなど英国大学を選択して進学し、やがて母国に帰ってもイギリスびいきの人材としてビジネスや政治の第一線で活躍するようになります。こうした人脈が国力にあたえる影響力は決して小さくないのです。

ハロウ校では、1998年にはじめての海外進出となるタイ・バンコク校を開校。その後、北京、重慶、香港、海口、南寧、上海、深圳、珠海と8校を中国に開校しています。そして11校目の進出先が日本となりました。

写真提供=Harrow International School
ハロウインターナショナル香港

香港の会社が運営に入っていることから「チャイナスクールである」という報道もありましたが、世界展開する英国式のインターナショナルスクールで中国資本が入っていない学校はほぼありません。どこも植民地だった香港にアジア太平洋事務局を構え、ここを足掛かりにアジアの富裕層にアプローチして、アジア展開を進めていくのが定石となっています。

ハロウ校の広報によると、現時点で入学する生徒の内訳は日本人が50%、残り50%が海外勢となっています。海外の生徒の内訳は、30%が中国の生徒で(香港、台湾を含む)、残り20%はシンガポール、マレーシア、タイ、韓国、オーストラリア、フランス、アメリカ、ニュージーランドなどから生徒が来るそうです。