「この会社、軍隊みたいですね」

入社して数日が経った昼休み、喫煙所で一緒になると、米谷さんは私に向かってこうぼやく。

屋敷康蔵『住宅営業マンぺこぺこ日記』(三五館シンシャ)

「屋敷さん、ここでは何から何まで営業マンにやらせるんですね。この会社、軍隊みたいですね」
「ハハハ、いい表現ですね。私も入社したばかりのころ、同じこと経験しましたよ。Aハウスはこんなことしないでしょう?」
「やらない、やらない。草むしりだって業者に依頼しますよ。それと事務所に社長の写真が飾ってあって、その前で朝礼するのも驚きました。北朝鮮に来たのかと思っちゃいました」

話し出したら愚痴や不満が出てくる出てくる……。しかし、米谷さんはこの理不尽な洗礼を受けながらも結果、しぶとくこの会社に生き残っていくことになる。そして、この2年後、すっかりサクラホームの色に染まり、自分がされたのと同じことを新人にしている米谷さんの姿があるのだった。悪しき慣習はこうして受け継がれていくのである。

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