なぜ、そう考えているのか。
今回の侵攻に加担し、ベラルーシをウクライナへの進撃拠点としてロシアに提供したことについて、ルカシェンコ大統領は痛恨の念を抱いているはず、と服部さんは見る。
「ロシアもそうですが、ベラルーシとウクライナにはお互いに友だちや親戚がいる人が多い。貿易のパートナーとしても大切です。これまでベラルーシは暴君ロシアのもとでやってきましたが、『スラブ民族3兄弟』の絆のようなものは消えない。だから、ウクライナと戦うことはベラルーシの国民理念、感情として、どうしても受け入れがたいのです」
事実、今年3月にベラルーシ国民を対象に行われた調査によれば、「ロシア側について紛争に関与する」と答えた人は、わずか3%しかいなかった。
「むしろ逆に、ウクライナ側に立って戦いたいと思っている人はある程度いるでしょう。これまで暴力で国民のあらゆる不満を抑えてきたルカシェンコといえども、参戦に踏み込むのは、あまりにも危険な賭けなのです」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)