食べたいものを食べよう

明日死んでも後悔しない人生の時間の過ごし方――。それは、我慢や無理をやめる、ということです。

食べたいものを我慢している人は多いでしょう。食べる量を減らす、塩辛いものや甘いものを避ける、脂っこいものを控えるなどは、よくあるケースです。

世間の常識では、太っていると健康が損なわれ、「塩分、糖分、脂質」は三大害悪のように言われているからです。

でも、本当にそうなのでしょうか?

「食べたいうのはめている、とも考えられます。高齢者は臓器の働きが落ちるためこれが欲求んでいる可能性があるのです。

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たとえば、塩分がそうです。人間は、ナトリウム(塩)がないと生きていけませんが、高齢者の腎臓は塩分を排出し、血中の塩分不足を起こすことがあるのです。

腎臓にはナトリウムを貯留する働きがあり、足りなければキープしようとします。ところが老化するとキープする能力が落ち、吐き出してしまう。この現象によって、塩分不足になってしまうというわけです。

すると、低ナトリウム血症(血液のナトリウム濃度が不足した状態)が起こりやすくなります。これを防ぐため、体が塩分を欲しがることがあるわけです。

食事の量もそうです。「少し太っている人のほうが長生き」というデータは世界中にあります。つまり、太り気味であるほうが好調だと体のほうが知っていて、脳を通して「食べたい」という信号を伝えているとも考えられるわけです。

栄養不足は老化を早める

たしかに60代くらいまでは、塩分の摂り過ぎも太り過ぎも、健康を損なう原因になるかもしれません。しかし80歳も目前の高齢者になったのなら、その常識は一度忘れたほうがいいと思います。

「食べたいものを我慢してダイエット」など自ら寿命を縮める行為です。栄養不足は、確実に老化を進めるからです。

もちろん、無理に食べる必要はありませんが「食べたい」と思うなら、我慢せずに食べたらいいのです。

体の声を素直に聞く――。80歳を過ぎた高齢者には、これが一番の健康法です。人間の体は、じつによくできています。それを信じればいいのです。

ちなみに、前述の低ナトリウム血症は、意識障害や痙攣けいれんなどを引き起こします。

ふだんは逆走や暴走をしない高齢ドライバーによる逆走事故や暴走事故などは、もしかすると低ナトリウム血症が原因で意識が飛んだのではないか。あるいは、血糖値や血圧を下げ過ぎて頭がぼーっとしたのかも……などと、複数の原因が考えられるのです。