朝鮮半島と遼東半島の戦略的重要性

【小太郎】あっ、ここ日本海です!

【つきじい】うむ。ロシアの軍艦が日本のまわりを航行し、対馬を要求したこともある。

【小太郎】これってヤバくないですか?

【つきじい】イギリスは日本に「港を開け、貿易をしろ」と迫ってくる。ロシアは「島よこせ」と迫ってくる。イギリスとロシアは敵同士だ。日本はどうする?

【小太郎】島は取られたらおしまい。貿易ならやってもいいかなぁ……ぼくだったら、イギリスと組んでロシアに対抗します。

【つきじい】うむ。明治政府の指導者たちも同じことを考えた。「敵はロシアだ」と。

【小太郎】明治維新を頑張ったのも、ロシアに対抗して国を強くするためだったのか……。

【つきじい】ロシア軍を大陸で迎え撃つため、日本軍の基地をつくる必要がある。日本が注目したのが、朝鮮半島と遼東半島じゃった。

【小太郎】なるほど!

【つきじい】朝鮮は、何百年も清国に朝貢してきた国でな。「日本がいじめます」と清国皇帝に訴えた。この結果、朝鮮をめぐって日本と清国がぶつかった。

【小太郎】これが日清戦争ですね!

日清戦争から日露戦争に至るまでの経緯

【つきじい】清国に勝利した日本が遼東半島を手に入れ、朝鮮を清国から独立させた。これをロシアから見れば……。

【小太郎】「日本、邪魔すんじゃねぇ!」

【つきじい】だからロシアは日本を脅迫した。「遼東半島を清国に返さないと戦争になるぞ」と。フランス・ドイツもこれに便乗したので三国干渉という。

【小太郎】イギリス、入ってないですね。

【つきじい】鋭い。イギリスはロシアの敵だからのぉ。結局、日本が清国に返還した遼東半島の旅順を今度はロシアが占領し、巨大な軍港を建設した。さらに清国で暴動が起こると、ロシアは暴動鎮圧の名目で満州に大軍を送った。

【小太郎】ずるいぞ、ロシア!

【つきじい】あせったイギリスは日本に軍事同盟を申し込んだ。日英同盟じゃ。その2年後、日本軍が旅順のロシア軍を攻撃し、戦争が始まった。

【小太郎】日露戦争!

【つきじい】日本軍はロシアの旅順艦隊を全滅させたが、ロシアにはもう一つ、バルチック艦隊があった……!