5.可視性(Visibility)のデザイン
原則5:FCでは、あらゆるものをプロトタイピングする!
フューチャーセンターでは、一つの正しい答えを論理的に導くのではなく、たくさんの仮説を形にしていきます。一つのアイディアが他人へのインプットとなり、皆で新しいアイディアを次々と作っていくのです。このような雰囲気を生み出すためには、いわゆる会議のようなコの字型の机の並べ方などせず、できるだけカジュアルなセッティングにする必要があります。例えば、テーブルを4人くらいで囲み、テーブルクロス代わりの模造紙に、カラフルなポストイットとサインペンをたくさん並べておきます。アイディアがどんどん目の前に増えていくことが可視化されることで、ワクワク感が高まります。
プロセスの可視化も重要です。石、ぬいぐるみ、工芸品などのトーキング・オブジェクト(発言者が誰かを明示するアイテム)は、今は誰が話す時間なのかを皆が意識し、発言者以外の人が聞き手に徹することを助けます。
理想的には壁を全部ホワイトボードにしてしまいたいところですが、そうでなかったとしても、できる限り多くのホワイトボードやイーゼルパッドを会場に持ち込みましょう。ファシリテーターは、参加者が話したことをできる限りすべて書き付けます。ポストイットでも構いません。参加者全員がポストイットを持って、すべて書き付けるようなセッションにしてもいいでしょう。いずれにしても、現れたアイディア一つひとつをしっかりとつかみ取ることが大切です。そのまますぅっと流れていってしまわないように。
一回のセッションが終わったあとも、できればその文脈を空間の中に残しておきたいものです。大きなスチレンボードを使って、たくさん貼り付けたポストイットたちをそのまま残しておくこともできますし、少なくとも写真にとって、その場の情熱を再現できるようにしておきましょう。このプロセスそのものが、重要なアウトプットなのです。