このように、フューチャーセンター・セッションを運営するには、少なからずコストがかかります。ですからフューチャーセンター・ディレクターは、収益モデルあるいはコスト対効果モデルを明確に持ち、しっかりとしたフューチャーセンター経営を行っていく必要があるのです。

フューチャーセンター・セッションの成否を分けるポイントは、「あの場所に行けば、この複雑に絡んだ問題が解決するのではないか、今までとは違う雰囲気で、よい対話ができるのではないか」、という期待感にあります。そのためには、フューチャーセンターという「場所」のパワーやブランドを高めることが、何より大切になります。

さてここまで、フューチャーセンターの設計には、セッションの設計と持続的な仕組みの設計があること、持続的な仕組みの設計にも組織の設計と場所の設計があることを述べてきました。これらの違いを理解していただいた上で、これらそれぞれの設計を超越したところで、「設計ガイドライン」を示したいと思います。このガイドラインは、各セッションのデザインにも有効ですし、フューチャーセンターの専用空間を作る際にも指針になるものです。

フューチャーセンター設計ガイドライン
1.信頼感(Trust)のデザイン
2.多様性(Diversity)のデザイン
3.関係性(Relationship)のデザイン
4.全体性(Wholeness)のデザイン
5.可視性(Visibility)のデザイン
6.安心感(Feel Safe)のデザイン

それぞれの設計ガイドラインは、フューチャーセンターの原則に一つひとつ対応しています。ただ原則と違って、設計ガイドラインは「必ずそれを守らなければならないもの」ではない、ということをご理解ください。なぜならば、それぞれのフューチャーセンターは、その目的に合わせて、個性的にカスタマイズしていくことが求められるからです。設計ガイドラインは、原則を実現するためのノウハウやアイディアの方向性、とお考えください。

では、一つずつ丁寧に見ていきましょう。