母親の異変

2018年。母親(当時58歳)からの過干渉に耐えきれなくなった妹(当時31歳)が、ついに「友だちと暮らす」と言って、家を出ていった。

2019年冬。週4日はパチンコに通っていた母親が、突然ぱったりと外出しなくなる。妹がいた頃から門脇さん(当時34歳)は、まるで家政婦のように家事のほとんどを受け持っていたが、母親は「しんどいしんどい」と言って、かろうじて週1~2回はやっていた家事一切をしなくなり、自分の部屋から出てこないようになってしまう。

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さらに2020年春。父親が亡くなってからは全く怒らなくなっていた母親だが、入浴を拒否するようになり、門脇さんが入るよう促すと、激怒するように。物忘れが目立ち、同じ話を何回もするようになっていたため、門脇さんは認知症を疑う。

「お母さん、最近、物忘れが激しいから、一度認知症の検査に行ってみよう。『しんどいしんどい』って言っていつも寝込んでいるのも気になるし。ただの物忘れなら安心できるし。病院に行って検査してほしい」

そう言って何度も頼むが、その度に母親は、「ただの物忘れや! 自分の体は自分がよくわかってる!」と反発。

だが、何度も真剣に説得する門脇さんの熱意に負けて、ようやく母親は観念。嫌々ながらも病院に行ったとき、すでに季節は夏になっていた。

母親が認知症とMRI検査を受けたところ、医師は「脳の血管がところどころ途切れている」という。他に、糖尿病と高血圧、高脂血症、掌蹠膿疱しょうせきのうほう症を抱える母親はその後、かかりつけの内科医によって「アルツハイマー型認知症」と診断された。