日本古来のエコ意識に支えられたリペアやメンテナンス、さらには他人と部屋や車を共有するシェアといったビジネスは大いに伸びしろが期待できる。

ただし、エコはエコでも、エコポイントが真の消費促進につながったか、これからもつながっていくかについては、3人ともに疑問符を投げかける。

「目先の利益を優先しているだけで、エコポイントがなくなったら買わなくなるだけ。将来的なエコのためという意識はないのでは」と厳しいのはルディー和子氏。小阪裕司氏は、「『買える』『買えない』のハードルが少し低くなっただけ。最終的な意思決定の際に背中を押す役割は果たしているが、エコポイント自体が購買動機につながったというのは違うでしょう」と見る。

いつかは廃止されるであろう表層的な取り組みに期待するよりも、消費を左右する本質的なキーワードに目を向けたほうが賢明だ。その意味で、三浦氏のこの指摘にぜひ耳を傾けたい。

「ユニクロは、ファストファッションとしてH&Mやフォーエバー21とひとくくりにされていますが、それは違う。まず勢いがありますよね。みんな勝ち馬に乗りたい、勝機や運気に乗りたいから買うんです。パワースポットに人が群がるのと一緒です。いまやユニクロがパワースポットになっているんです。

もう一つ重要なのが、安くていい品をつくっているユニクロに日本人は誇りを感じているということ。縫っているのは中国人かもしれないけれど、それをコントロールして、安価で品質のいい服をつくり出せるのは日本人だけ。そう訴えかけてきますよね。だからなんだかうれしくなる。それはかつてのトヨタや松下(パナソニック)と同じですよ。いまの時代、この誇りが大事なんじゃないでしょうか」

私たちは日本のいい商品に触れたとき、きめ細かなサービスを受けたとき、「日本人としての誇り」を感じる。それは、丁寧で地道な作業の積み重ねから生み出される高質なモノ・サービスに横たわる「日本の魂」そのものだ。企業はいまこそ、ここに立ち返るべきなのかもしれない。

※すべて雑誌掲載当時

(永井 浩=撮影)