「彼らを自分の身に置き換えて考える」

マルクス・ガブリエル著、大野和基インタビュー・編、月谷真紀訳『わかりあえない他者と生きる』(PHP新書)

この問題に対する私の態度は、ドイツにいるすべての人間をその人の権利を通じてドイツ社会に完全に統合しようということです。難民は庇護を求めて来ており、彼らには明確に定められた権利がありますから、我が国の憲法を通じて彼らが持っている権利をすべて与えなければなりません。それ以上でもそれ以下でもないのです。

つまり、彼らを自分の身に置き換えて考えなければなりません。自分があの16歳のシリア人だったかもしれない。あの42歳のシリア人だったかもしれない。自分だったかもしれないのです。それが倫理の形だと私は思います。

つまり、他者について考えるときは、他者を自分とまったく同じように考えなければなりません。自分があの人だったかもしれない。すると相手との接し方がまったく変わってきます。本気で相手の身になるのです。外見の違いなどどうでもいいことです。向こうから見れば私だって違うのですから。

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