「脂肪燃焼スイッチ」を押す4つのコツ

その後たくさんの研究で、痩せている人ほど褐色脂肪を有していて、若者には300グラムほどの褐色脂肪があることなどが分かりました。たった300グラムでも、体の中にすでに存在する褐色脂肪を刺激することで、代謝を上げることが可能です。

ライデン大学医療センターのマリエッタ・ボンが所属する研究チームは、褐色脂肪が健康な人たちの代謝に与える影響を調査しました。若い男性たちを冷水が流れるマットの上に寝かせて、冷水に触れる前と後で代謝率を測定したのです。

その結果、2時間で男性たちの代謝率は1日200キロカロリーも上昇しました。つまり、残存する褐色脂肪のスイッチを「オン」にして可能な限り活発にすれば、1日に200キロカロリーを余分に燃やすことができるのです。

なぜ冷水に触れたことで、褐色脂肪のスイッチは「オン」になったのでしょう。

脳にある視床下部は入ってくるすべての情報を処理し、熱をつくり出すべきか、熱を逃すべきか判断しています。寒さを感じることで、熱をつくるために褐色脂肪のスイッチを入れるよう、脳から信号が送られたのです。

つまり「冷たさ」によって褐色脂肪細胞のスイッチが入るため、刺激を与えるのは比較的簡単です。次のことを試してみましょう。

・毎日のシャワーの最後の数分を冷水にする。
・ときどき水風呂に入る。
・毎日、室温を数度下げた部屋で数時間過ごす。その際にセーターなどを着ない。
・運動はジムより屋外で。肌寒い日はとくに、自転車通勤しましょう。

脂肪は決して「悪者」ではない

実際に冷たいところに行かずに、褐色脂肪を活発にする方法も調査が進められています。

マリエッタ・ボン、リーズベス・ファン・ロッサム『痩せる脂肪 もっとも誤解されている器官の驚くべき事実』(クロスメディア・パブリッシング)

例えば、唐辛子の成分であるカプサイシンを、6週間続けて若い健康な男性に錠剤の形状で飲んでもらったところ、代謝が上がることが分かっています。

このように、脂肪は実に多くの役割を担っているのです。

脳に働きかけ、脂肪が減る前兆があれば、レプチンが脳に「もっと食べろ」と指示を出すよう要求します。そして蓄えられている脂肪量に悪影響があると判断すれば、妊娠させないように脳を介してコントロールします。

さらには、褐色脂肪は刺激されることで、脂肪を燃焼して熱を生み出す働きもあります。これらを知ったいま、もう脂肪を「悪者」とは言えなくなるでしょう。

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