仕事、子育て、介護…気がついたら「何もない」という悲劇も

英語で「Mini-van Mama(ミニバンママ)」という言葉があります。

小さなファミリーカーで、子どもの学校や習い事、サッカー教室やバレエ教室、親の通院のために、送りに行ったり、迎えに行ったりで「忙しいママ」の意味で使われます。

日本でも「Mini-van Mama」「Mini-van Papa」は多いでしょう。実際に、ミニバンを運転しているあいだに40代を過ぎてしまった、と思うほど、家庭のことにエネルギーをとられていたという50代の人もいました。

子育てや介護となると、どちらかといえば女性が担当することが多いと思いますが、それこそ、何事も子ども優先、介護される人優先で毎日がまわっていきます。仕事にエネルギーが向いている人は、生活のすべてが仕事中心になりがちです。

仕事にかける人生に充実感を得られる人もいれば、ミニバンを運転しながら、子どもの成長を見たり、親の面倒を見られたりすることに幸せを感じる人もいます。

けれども、どちらかと言えば、それは少数派で、家族や会社にこき使われているように感じて、自分がどんどん消耗していくことに、犠牲感を募らせてしまう人がほとんどと言ってもいいでしょう。

人生の後半を決める大切な10年であるにもかかわらず、気をゆるめていると、仕事や子育て、介護などで、時間をとられてしまうのです。時間をとられる活動は、自分を消費することにつながっています。

それが悪いことではありませんが、消費するだけでは、気がついたら「何もない」ということもあるわけです。

「40代」を充実した人生として過ごせる人がいる一方で、空虚なまま「40代」が終わる人も少なくありません。いや、むしろ多いと言ってもいいでしょう。

40代が充実しないと、50代以降は抜け殻のようになってしまいます。この10年を大切に生きないと、人生の後半がつらくなります。

あなたは、仕事や会社にエネルギーをとられて、自分を消耗していませんか?

子どもや家族にエネルギーをとられて、自分を消耗していませんか?

親や介護にエネルギーをとられて、自分を消耗していませんか?

たいていの「40代」は、「仕事」「子育て」「介護」の3つのどれかに、あるいはその3つともに、自分の人生を侵食されてしまっています。

本田健『40代にとって大切な17のこと』(きずな出版)

「40代」は、仕事ができる、できないにかかわらず、それなりに忙しくなります。

子育ては、子どもが1人でも2人でも、莫大なエネルギーが必要になります。介護も同じです。両親と離れて暮らしている人は、たとえば兄弟姉妹がいた場合には、分担することもできるでしょう。一人っ子の場合、または自分だけが両親といちばん近い場所に住んでいる、という場合には、負担が大きくなります。

この「仕事」「子育て」「介護」の3つのエネルギーの綱引きで、より仕事をやる人、より子育てをやる人、より両親の介護をやる人に分かれていくわけです。