選挙の人手とノウハウ…立憲民主党が連合にしがみつく理由
立憲民主党は連合のご機嫌取りに躍起だ。泉代表は衆院選で共産党との間で合意した「野党共闘」は終了したと表明。連合との連携を最優先して参院選に臨む考えを鮮明にしている。
連合にとことん冷淡に扱われながらしがみついているのはなぜか。一言でいうと連合傘下の労働組合の力を借りなければ選挙活動ができないからだ。
民主党幹事長経験者はこう打ち明ける。
「実は連合の票はさほどでもない。連合に依存しているのは選挙に必要な人手とノウハウ。選挙事務所の設置、ビラやチラシの作成・配布、ポスター貼り、選挙カーの手配、運動員の確保、選挙資金の管理……。公職選挙法を守りながら選挙活動をするには、多くのスタッフと選挙実務に精通した人材が不可欠。自民党は地方議員や業界団体がフル回転するが、立憲民主党は連合に依存している。連合なしに選挙活動が成り立つ国会議員はほんのひと握り。連合に見放されたら選挙期間中にポスターを貼り終えることさえできないかもしれない」
それでも小沢一郎、鳩山由紀夫、菅直人、岡田克也各氏ら大物議員が代表や幹事長を務めている時代は連合と対等以上な関係を維持してきた。彼ら党重鎮は選挙地盤が強く、連合にも強気に対峙できたからだ。
連合依存を続ければ立憲民主党は埋没する
だが、衆院選惨敗で枝野幸男代表が引責辞任し、47歳の泉氏が新代表に就任。党執行部経験のない西村智奈美氏を幹事長に、小川淳也氏を政調会長に起用し、世代交代が一気に進んだ結果、連合との交渉力は大幅に低下。尻に敷かれるどころか、縁を切られそうなのに付き従うという無残な姿をさらけ出している。
NHKの世論調査によると、立憲民主党の支持率は低迷し、ついに衆院選で躍進した日本維新の会に追い抜かれた。最新の結果では若干回復したものの、各社の世論調査を見ると下落トレンドは変わらない。維新は「打倒・立憲」を鮮明に掲げ、自民党を倒すよりも立憲民主党から野党第1党の座を奪い取ることを優先している。
野党共闘を支持してきたリベラル層からも連合べったりの立憲民主党に愛想を尽かす声がネットに広がり、共産党やれいわ新選組への期待感が高まっている。このまま連合依存を続ければ立憲民主党は埋没し、参院選で惨敗して分裂・解党に追い込まれる可能性が高い。
立憲民主党は連合依存から脱却し、新しい政党像をつくらなければならない。その道を探るため、まずは野党第1党と連合の歴史を振り返ってみよう。
「野党・労働界の結集」と「政権交代」が目標だったが…
連合は1989年、旧社会党系や旧民社党系の労働団体が寄り集まって発足した。自民党単独政権に対抗し、野党が結集して政権交代を実現することを目指したのである。
自民党を飛び出した小沢氏らと連携して1993年には8会派による非自民連立政権(細川護煕政権)を誕生させた。以来、自民党と対抗する新進党や民主党など野党第1党を支持する立場を貫いてきた。