弁当は職場のゴミ箱に捨て、カップ麺を食べていた
料理の腕を上げたR美さんは、夫と子供の弁当も毎日オーガニック食材で作るようになったという。「主食は玄米で、おかずは大豆ミートとオーガニック野菜。もちろん化学調味料は使いません」。
R美さんが、夫と同じ職場で働く女友達から衝撃的な事実を打ち明けられたのは数カ月前のことだった。「言うべきかどうか迷ったけれど、R美のダンナ、毎日お弁当を捨てているみたいよ」。その友人いわく、R美さんの夫は、持参した愛妻弁当を休憩室のゴミ箱にこっそり捨てて、コンビニで買ってきたパンやカップラーメンを毎日おいしそうに食べていたのだとか。そのことを知ったR美さんは絶句したという。
帰宅した夫に真実を問いただしたところ、「弁当は捨てはじめて1年以上になる。もともとジャンクフードが好きだし、玄米や大豆では物足りないし、働くモチベーションも上がらない。悪いとは思ったが、毎日張り切って作ってくれるのに、むげに断ることもできなかった」。その後、夫婦は本音で話し合いを重ねたものの、“添加物や農薬、加工食品の害を説く妻”と、“まるで興味を示さない夫”は、どこまでも平行線をたどったまま、とうとう決裂したとのこと。「もうお前の作る料理は食べない」「二度とあなたのために料理はしない」という2人は現在、家庭内別居中だ。
コロナ前は「年2回海外旅行に行く」仲良し夫婦だった
【CASE2】「好きなことをして生きたい」と会社を辞めた夫
「コロナのせいで、私たち夫婦はすっかりボロボロです」とすっかり憔悴した表情で打ち明けるN緒さん(47歳)は、2歳年上の夫と2人暮らしをしている。2人が結婚したのは5年前。お互いに旅行とワインを飲むことが趣味で、仕事の休みを合わせて年に2回は海外旅行に行くような“仲良し夫婦”。「子供はつくらずに、ずっと2人で暮らそう」という意見も一致していたという。
N緒さんの夫の様子に変化が見えはじめたのは約2年前、コロナ禍のはじまりの頃だった。「リモートワークで家にいる時間が増えた夫は、働く意味について考えるようになったようでした。『なんのために働かなくてはいけないのか?』が口グセになったかと思いきや、しばらくすると『生きる意味ってなんだろう?』に変わり、やがて黙り込む日が多くなっていきました」。
夫の異変が心配になったN緒さんは心療内科に行くことをすすめたが、その頃すでに夫の気持ちは「会社を辞めて、残りの人生は好きなことをして暮らしたい」という方向で固まっていたのだった。