福岡という都市の価値が一段上がるとき
このように、福岡がいま日本で一番元気な都市となっている。空港が近く便利で、食べ物もうまい、そして住宅など生活コストも比較的安いという、まさにコンパクトシティの理想形がそこにある。地元の人々だけでなく、転勤者や旅行者の満足度も高い街だ。福岡市は、学生が多く若年層の比率が高いので、今後の成長余力もありそうだ。
一方で、大きな基幹産業があるわけでもなく、典型的な支店経済でもあり、市内に著名な観光資源に多く恵まれている訳でもない、との意見もある。
このため暮らしやすい街であり、若くて元気な街ではあるが、消費の街であり、富裕層を惹きつけるような投資の街、ブランドの街ではないとも言われてきた。
しかし、「天神ビックバン」や「博多コネクティッド」といった再開発ラッシュにより、大手外資系企業が進出し、ザ・リッツ・カールトンのような外資系ラグジュアリーホテルの進出も決まった。こうしたグローバルブランドの進出は、福岡という都市の価値をもう一段高めることになる。
「投資が投資を呼ぶ」好循環が生まれつつある
福岡のブランド力が高まれば、世界的なカネ余りが続くなか、国内外の優良企業や富裕層からの注目が集まる。良質な不動産や事業への投資機会や起業機会などが供給され、その結果、福岡のステイタスがさらに高まり、資産価値の上昇により、さらなる開発や投資が行われる、という、投資が投資を呼ぶ好循環が生まれてきているのだ。特に、天神地区の商業ビルや大濠地区の高級マンションなどは、供給量が限定されるため、希少価値が増し、プレミアム価格での売買になる。インカムゲインだけでなく、キャピタルゲインをも狙うことが可能な市場となってきている。
もっとも、不動産投資の観点からいうと、福岡の不動産は、緩和されているとはいえ、容積率等に制限があり、投資効率は悪くなる。また物件価格に対して、法人向け個人向けを含め賃貸相場が安い傾向になる点も気になる。
福岡における投資が投資を呼ぶ世界が、一部の限られたエリアだけにとどまるのか、福岡全体に広がっていくのか、しばらくは目が離せない。