中性脂肪上昇の原因には肥満や過食がある

このように、あきらかに数値悪化の傾向が生じているのです。中性脂肪・ALTはどちらも生活習慣病に当たる疾患と関連の深い項目ですから注意が必要です。これらの値が上昇する要因、上昇すると起きる問題を簡単にご説明いたします。

まず中性脂肪について。中性脂肪は脂質異常症の診断のひとつで、健診では血液検査で測定します。健診結果では「TG」や「トリグリセリド」と表記されていることもあります。この値が高いということは血液中の中性脂肪の代謝が正常でないことを意味しています。血液中に脂肪が増えると血管の内側にたまり、動脈硬化を引き起こしやすくするなどの問題があります。中性脂肪の値は30~149mg/dLが正常とされており、150mg/dLを超えると高中性脂肪血症とされ、注意が必要です。

中性脂肪の数値が上昇する要因としては、肥満や過食・脂肪過多な食生活、運動不足、ストレス、遺伝的要素が挙げられます。

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ALT上昇の主な原因は生活習慣の乱れ

つぎにALTについて。ALTは肝臓の細胞に多く含まれている酵素です。「GPT」と記載されていることもあります。肝機能障害の診断のひとつで、血液検査で血中の量を測定します。肝臓に障害が起こり肝細胞が破壊されると、血液中に流れ込んでくるALTの量が増加し数値が上昇します。健診結果で31U/L以上は要注意、51U/L以上であれば異常とされています。数値が高い場合には脂肪肝になっている可能性が高いです。

肝臓には、エネルギー源として脂肪を蓄える働きがあり、それ自体は正常な機能です。ですが、脂肪が使いきれなかった場合にその余剰分が蓄積され、肝細胞の30%以上を占めるようになると脂肪肝の診断となります。アルコールが原因の場合はアルコール性脂肪肝といわれます。食べ過ぎによる栄養過多やアルコールの飲み過ぎ、運動不足といった生活習慣の乱れが主な原因です。また、中性脂肪で前述した脂質異常症の場合も脂肪肝になりやすいです。

ただし、上記以外にも、肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎、薬剤による薬剤性肝障害、肝がんなどの可能性もあります。健診で肝機能障害の指摘を受けた場合には、肥満やお酒のためだろうと自己判断はせず精密検査を受けるようにしてください。