続いて、その20年後の2020年のデータを見てみましょう。20年前と大きく様変わりしています。夫の1位が「性格の不一致」である点は一緒ですが、妻側の離婚理由の1位は、「性格の不一致」の38%を逆転して「金銭問題」が40%と1位になっています。さらに、妻側理由の3位は「精神的虐待」が25%となり、20年前に3位だった「身体的暴力」の20%を上回りました。妻側の離婚理由である「金と暴力」という大枠は変わらないのですが、暴力の中身が、夫のモラハラなど精神的虐待の方向が多くなったということです。

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不倫離婚が減ったのは円満夫婦だからではなく…

しかし、それ以上に注目に値するのが、夫側の離婚理由の変化です。20年前は理由のほとんどが「性格の不一致」だけだったのに対し、2020年になると、2位に「妻からの精神的虐待」がきます。割合も12%から20%へと大幅に増え、3位も「妻の金銭的問題」が17%となっています。つまり、妻同様、夫にとっての離婚理由も「金と暴力」問題に切り替わってきているということです。

ちなみに、不倫や浮気による離婚は、2000年は夫19%、妻27%もあったのに対し、2020年になると夫14%、妻15%と減っており、特に、妻側の理由としてはほぼ半減しています。これは、最近の夫婦が浮気もしない円満夫婦が多いということではないでしょう。浮気をするということはある程度生活上のゆとりがあればこその話です。20年前と比べて、現代の夫婦は、浮気をするゆとりや元気もないほど経済的問題に直面しているからという見方もできます。夫側の離婚理由の3位に「金銭問題」がきているのも、「妻が働かないと家庭生活が成り立たない」という経済的要因を表しているかもしれません。