「学ぶことが楽しい」と思えることがゴール

サイエンス科で使用したリサーチノートブック(筆者撮影)

この学校では、「教員はCo Learnerである」と言っています。Coとは共同、共通、相互を表す接頭語で、「教員もまた、学び手である」という意味だそうです。教員自身が互いに学びあう関係性を作ることができてこそ、生徒と教員もフラットな関係性の中で共感的な対話ができ、学び合えるのでしょう。

かえつ有明の教育目標は、①学び方を学ぶ、②自分軸を確立する、③共に生きる、の3つで、サイエンス科はこの目標達成のためのコアプログラムです。ここで身につけたスキルは、教科学習の中でも生かされ、教室の授業も生徒が主体的に学ぶアクティブラーニングになっているのです。プログラムのゴールは、「学ぶことが楽しい」と思えること。生徒が主体的に動きたくなるそんな仕掛けや声かけを教員自身が、いつも学び合っているのです。

探求教育を徹底する「高校新クラス」

サイエンス科は、高校では「プロジェクト科」という名前になり、より生徒主導になります。なぜなら、探究でもっとも大切なことは、テーマ設定だからです。子供たち自身が、常に「自分は何がしたいのか?」「どんなことに興味があるのか」に向き合い、対話することを通じて、自分たちがやりたいプロジェクトに出会えれば、そこから自主的にどんどん行動しはじめる。教師はそれをサポートしていくというスタイルです。

そこには、NVC(共感的コミュニケーション)・U理論(課題に対して前例のない解決方法を見いだし、組織にイノベーションをもたらす手法)・ブレインストーミングのためのシックスハット法(あるテーマ、課題、問題に対して6つの視点から考える思考法)など、かなり専門的な対話の手法が埋め込まれています。

このプロジェクト科を中心に置いて、徹底的に探究教育が行われているのが、高校「新クラス」です。このクラスは、理想の授業を大胆に行える場所を作りたいという思いから、2015年に立ち上げられました。

筆者撮影
高校新クラス1年生の数学の授業風景 生徒自らが考えたプロジェクトを行っていた