かえつ有明中・高等学校は、東京都江東区にある私立中高一貫校だ。アクティブラーニングや探求教育に力を入れており、中でも高校「新クラス」では、より探求教育を徹底している。生徒たちはどんな進路を選んでいるのか。子育て・教育ナビゲーターの中曽根陽子さんが取材した――。
早稲田大学と慶応義塾大学
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学ぶためのスキルを身につけ鍛える「サイエンス科」

東京2020オリンピック・パラリンピックの競技会場がいくつも造られた東京都江東区有明地区。それらの会場の近くにあるのが、かえつ有明中学校・高等学校です。

かえつ有明中学校・高等学校は、2006年に嘉悦女子中学校・嘉悦女子高等学校が校名変更し、有明キャンパスに新校舎を造って開校した男女共学の学校です。

この学校では、アクティブラーニングや探究といった言葉が全く使われていなかった10年以上前からそれらを教育に取り入れ、常に未来を見据えて教育改革に取り組んできました。

中学校で行われている「サイエンス科」は、その象徴のような教科です。学ぶために必要となるスキルを身につけ、トレーニングすることに特化した独自の授業を行っています。

「サイエンス」というと理科をイメージするかもしれませんが、サイエンス科のサイエンスは、人文科学・社会科学の「科学」(サイエンス)を意味しています。さまざまな教科の先生や卒業生、時には外部の専門家も交えて話し合いながら、取り組むテーマとコンテンツ、そして身につけてほしいスキルを設定します。興味深いテーマに前のめりに取り組む中で、生徒たちは「情報を集め、整理・分析して自分の考えをまとめ、人に伝える」というプロセスを実践しつつ、学ぶために必要なスキルを磨くトレーニングを行います。サイエンス科の授業は、中学1〜2年生は週2回、中学3年生は週1回行われています。

教員たちがワークショップ形式でミーティング

そして、週1回、サイエンス科と高校のプロジェクト科を担当している教員たちのミーティングが開かれています。そこでは、教員自身がさまざまなワークショップの手法を学び、実践をフィードバックし合います。今回は、その場を見学しました。

サイエンス科・プロジェクト科主任の田中理紗先生。英語科教員 サイエンス科立ち上げからのメンバーで、さまざまな手法を自ら学び、先生や生徒に伝えている(筆者撮影)
サイエンス科・プロジェクト科主任の田中理紗先生。英語科教員 サイエンス科立ち上げからのメンバーで、さまざまな手法を自ら学び、先生や生徒に伝えている(筆者撮影)

その日は2学期最後ということで、サイエンス科・プロジェクト科主任の田中理紗先生のファシリテーションのもと、それぞれの取り組みについて1人3分で紹介し、隣に座っている異学年担当の教員が1分でフィードバックしていくワークショップ形式で行われていました。いろいろな学校を取材してきたなかで、先生がこういうワークショップスタイルのミーティングをしているのは初めて見ました。年齢や経験の差がある先生同士がフラットな信頼関係を築いていることが短時間で伝わってきました。しかも、先生自身が、サイエンス科の取り組みを楽しんでいる様子が見てとれて、聞いているだけでこちらも楽しくなってきました。

サイエンス科・プロジェクト科担当教員による朝のミーティングの風景
筆者撮影
サイエンス科・プロジェクト科担当教員による朝のミーティングの風景