自分を磨く行為を続け、節制の習慣を身につける

第3段階は困難を通して自分を磨き続けることである。そのために大別して2つの方法がある。

1つは努力を要するもの(勉強、読書、語学学習、スポーツなど、達成に困難を伴うもの)を通して自分を磨くことである。その過程を通じて、ちょっとやそっとでは他人に真似できない自分の持ち味が身につく。好きなことなら何に打ち込んでもよいが、努力を要するものでなければならない。なぜなら簡単なことならだれにでも真似できるし、だれにでも真似できることでは自分の持ち味にならないからである。私が40歳を過ぎてからさまざまな大学で学問に打ち込んでいたのは、まさにこの第3段階の「自分を磨く行為」だったのである。

もう1つは節制する習慣を身につけて欲望を抑えることである。ではなぜ欲望を抑えることが必要なのか。それはどんな才能の持ち主であっても欲望に振り回されていればそれが足を引っ張ることになるからだ。

せっかくすばらしい才能があるのに、一瞬の欲望に負けたがために転落してしまい、エウダイモニアへの道が閉ざされてしまう例は少なくない。そうならないためにも欲望を抑える節制の習慣を身につけなければならないのである。

自分の持ち味を生かして社会に貢献する

第4段階(最終段階)は、自分の持ち味を生かして社会に貢献することである。せっかく技を磨いても自分だけのものにしていてはエウダイモニアは達成できない。やはり他人に喜んでもらってはじめてその真価が発揮できるというものだ。

宮崎伸治『自分を変える! 大人の学び方大全』(世界文化社)

とてもおいしいフランス料理が作れる腕があるのに、他人には絶対に食べさせないフレンチの料理人、世界中を感動させるピアノの腕があるのに人前では絶対に演奏しないピアニスト、画期的な発見をしたのにどこにも発表しない科学者を想像してみてほしい。なんともったいないことをしていると思わないだろうか。やはり自分の持ち味は他人に喜んでもらってこそ、その真価が発揮できるのであり、そうすべきなのだ。

本書では、エウダイモニアを達成するための強力な手段として「大人の勉強」への乗り出し方を説いている。

「大人の勉強」をはじめると、第2段階の「レジリエンス」が養え、第3段階の「困難を通して自分を磨く」ことができるようになる。

そしてついには、第4段階の社会貢献へと到達することができるのだ。

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