今は週1回しか東京に行っていない
岸田首相の看板政策は「成長と分配の好循環」。しかし、森永教授はその実現は難しいとみている。
「本気で、分配を重視するんだったら、消費税を下げれば絶対に好循環が生まれるんですが、岸田さんはそれもできないんですよ。財務省の言うことを聞いてしまうから」
新年から暗くなってしまう話ばかりだが、今年を占うキーワードを教えてもらった。それは「非東京化」だという。
「私自身、コロナ前は、平日はずっと東京に泊り込んで仕事をしていたんですが、今は週に1回しか東京へは行ってないです」
森永教授は1985年、埼玉県所沢市に中古の一戸建てを購入した。現在もそこに住んでいる。
「85年の段階で、バブルが近いと予測し、当時20代でしたが早めに所沢に家を買ったんですね。実際にその5年後くらいにバブルのピークを迎えました」
森永氏は、これからはあらゆる意味で「非東京」が進んで行くと考える。
「まだ統計が出てないので何とも言えないところはあるんですが、東京の人口がマイナスに転じる可能性があるんですね。おそらく、首都圏の他の県の人口もマイナスになるでしょう。首都圏の人口が減るというのは、この四半世紀経験したことがない事態なんです」
首都圏の人口減少について、森永教授は、リモートワークの普及、地震、コロナ禍、洪水のリスクをあげる。
「経済や天変地異のショックが生じた時、どこが経済を支えるかというと非東京の人たちなんですよ。だから、株価という意味では、私は東京本社ではない地方本社の企業が、安全だと思っています」
新型コロナの感染拡大をきっかけに、地方に移住する人が増えた。
「私の周りではすごく多いんですよ。移住先としては首都圏ではなく、もっと遠い地方を選ぶ。思っていたより、みんなの動きが早かった」
首都圏の住宅価格が高くなり過ぎたことも背景にあるようだ。不動産経済研究所が発表した昨年1月から11月の東京23区の新築マンションの平均価格は8327万円。昨年10月分では首都圏の新築マンションの平均価格は6750万円となり、調査開始(73年)以来の最高値となった。