鋭い表現はどうしても角が立ち、また正論はときに受け手に刺さり過ぎるので、それに対する聞き手の不快感をいかに和らげるかがファシリテーターの役割のひとつです。
そして、あくまで質問の形を取りながら、ヒートアップしている当人たちに言いたいことをしっかり言わせることも、議論を前に進めていくためには大切です。
激しい議論を制するシンプルなフレーズ
会議やミーティングの場では、ときに参加者同士の主張が激しくぶつかり合うことがあります。
理想は、参加するすべての人が自分の意見を言うことができ、最終的に気づきと学びを得て円満に終わりを迎えること。そこでファシリテーターとしては、活発な議論を促しながらも、参加者のみなさんに、いかに嫌な思いをさせることなく進行できるかが大切です。
アベプラでも、ひろゆきさんVS.亀井静香さん、田原総一朗さんVS.宮台真司さんなど、出演者同士が激しく議論するシーンが頻繁にあります。こういった感情もあらわに激しく言い合う人々のあいだに割って入るのは、容易なことではありません。
中途半端に「まあまあ」とか、「そのあたりで……」などと口を挟むと、かえって火に油を注ぐことにもなりかねません。
そこで使えるのが、「わかりました○○さん。この話、いったんこちらで引き取らせていただきます」というフレーズ。
ここで大切なのは、意見を強制終了させるのではなく、あくまで「引き取る」スタンスを守ることです。
ポイントは「メンツを潰さない」こと
たとえば、こんな言葉を続けてみましょう。
「◯◯さんが言いたいのは、つまりこういうことですよね、わかります。それに対して××さんはこう主張されている。たしかにどちらの立場もありそうですね」
「いずれの意見も大変参考になります。一方で、◯◯さん(第三者)は、この件についてはどうお考えでしょうか」
「どちらの意見もよく理解できますから、この点をテーマにして、またあらためて議論しましょう」
ポイントは、激しく主張をぶつけ合った人たちの顔をつぶさないこと。
会社や組織間の会議の場合、その会社や組織、部署、立場を背負っているため、引くに引けない事情をもって出席されていることが多々あります。
だからこそ、自分の意見を否定されたと思わせず、これが有意義な議論のきっかけであるというムードを作れれば、適度な熱量を保ったまま、スムーズに次の議論に移行することができるはずです。