さらに収支は、本部全体ではなく、一便一便で把握する。各部門、各部署、各便ごとの収支が明確化されたことで、採算意識も高まる。CA秋澤まゆが言う。「機内で使わないものがあったら、即座に改善します」。同じく吉川陽子も「乗務員の荷物一つでも軽くするようにとか、自分たちでできることは一つ一つ変えていこうと努力しています」と続ける。搭載重量が少しでも軽くなれば、燃費がよくなる。在庫も減る。
機長の小川良は75年入社。ベテラン中のベテランパイロットだ。「自分が飛ばしている飛行機は、お客様の単価がどれくらいで、どのくらいのお客様にお乗りいただければ黒字になる路線なのか。これだけ飛ぶといくらおカネがかかるのか。まだ大雑把な数字だけれども、概略がわかるようになった」。
さらには、考え方や行動も変化してきたという。「私たちパイロットは、破綻までは安全・定時・快適・環境の順番で物事を考えるようにと、教わってきました。安全は当然として、いまは残る3つをトータルのバランスで考えなくてはいけないと思っています。
例えば、定時性についていうと、昔は出発が遅れたら、燃料をどんどん使って、ぶっ飛ばして遅れを取り戻していました。搭乗ゲートも、すべてのお客様を乗せるまで待っていましたが、いまは定刻になれば出発します。飛行機内でお待ち頂くお客様にも迷惑ですし、全体をバランスよく考えるのが大切ですから」。
(文中敬称略)
※すべて雑誌掲載当時