顧客視点に立つということは、実は飛行機が遅れたときに重要だ。岡山空港の整備長猿楽浩二は、飛行機の出発が遅れるときには、待合室に出向き、マイクを取って、遅れる理由を自ら説明するようになった。
日本航空会長 稲盛和夫氏
飛行機が遅れる場合、以前は、地上職員が「機材の到着遅れで、出発が○○分ほど遅れる見込みです」と説明していた。これに対して、整備のプロである整備士自身が、きちんと遅れる理由を直接説明するのが、多くの乗客から好評を得ているという。猿楽は言う。「稲盛会長の言葉は、私にでも理解できるぐらいわかりやすい。整備士の私にはまったく縁がないと考えていた経営についても『売り上げを最大に、経費を最小にすることだ』と言われ、腑に落ちた」。猿楽のフィロソフィ手帳は何度も読み込まれ、無数の線が引かれ、ぼろぼろになっている。
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