コロナによる住宅特需が、曲がり角を迎えている

新築は原価ありきで価格が高くなるものの、中古はあくまで市場での取引価格で形成される。2021年は行動制限がずっと行われていた年だったが、緊急事態宣言が9月末で終了した。時短要請や人数制限などは緩和・解除の方向で進み、近いうちにGo To キャンペーンも再開されるだろう。新型コロナの感染者数が急減する中で、これまで行くことができなかった鬱憤うっぷんを晴らすかのように、観光地で新たな別の特需が生まれることになる。

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土日祝日はレジャーや旅行に行く人が増えると、住宅需要は減らざるを得ない。こうして、まもなくコロナ特需は終了する。来場者数はすでに前年割れを始めているし、旺盛で1年半近く続いた住宅特需は曲がり角を迎えている。

そもそも分譲市場で売れ行きの良い時期は短命で終わっている例が多い。コロナ前の水準を見ると、18カ月のうち14カ月は前年同月比割れで売行きが悪かった。そこに来てのこの高価格なので、需要が減れば売れ行きは急に落ちる。買い手の数が減れば中古の販売価格を見直さなければならなくなる。

2022年は売れ行きが悪化するところも

先ほど見たように、新築価格は2025年まで上昇を続ける。これに、売れ行きは関係ない。原価が高いから仕方ないことだ。2022年は売れ行きが悪化し、閑古鳥が鳴くところも出てくるかもしれない。住宅は気持ちが冷めると、優先順位が圏外に落ちるものだ。それは過去の増税前の駆け込み需要とその反動減が何度も起きたことが証明してくれている。結婚や出産や入学というトリガーに端を発する一定の持ち家需要はコンスタントにあるものの、「みんながやっているから」的な浮かれた需要も多いのが住宅需要なのだ。

購入時に持っておくべき「2つの視点」

新築でも中古でも購入の際に知っておくべきことは、2つある。1つは、その物件の資産性だ。全ての新築物件は、過去の周辺物件の取引価格の推移によって1年の平均値下がり率が決まる。都心・駅近の物件ほど資産性が高くなる。こうした物件の資産性が高いのは、中古で買いたい人がたくさんいることを暗示している。人気の物件は値下がりしにくいのだ。

もう1つは、適正価格だ。新築にも中古成約価格から想定される適正価格があったように、中古にはその物件の取引価格の推移から分かる各住戸の適正価格がある。同じ物件でも高層階の眺望がいい住戸と下層階の墓地が見える住戸の単価差は非常に大きい。それを正確に当てるには、大量のデータと適切なロジックが必要となる。

中古の号室別査定価格は、「住まいサーフィン」の物件詳細から自宅査定という機能で無料提供しているので、それを使うのも一つの手だ。その結果査定された価格で購入したいものだ。相場が上昇している中で、適正価格より1割高くても検討に値すると考えている。中古は同じ条件のものがいつ出てくるか分からないので、何が何でも適正価格以下で買いたいと言っていたら、いつまでも買えなくなるかもしれない。