「キリスト教」と回答した米国成人、2009年77%から10年後に65%へ
ピューリサーチセンターが2018から2019年にかけて実施した調査では、「自分が信じる宗教は何ですか」という質問に対し、「キリスト教」と回答した米国の成人は65%。この数字は2009年の77%から12ポイントも減少している。
宗派でみればプロテスタント(51%→43%)とカトリック(23%→20%)では、ややプロテスタントのほうが、減少割合が高いという。全キリスト教徒のうち、定期的に教会に通う割合も52%から47%と減少している。
一方で「無神論者」の割合は、2009年の17%から9ポイント増えて26%になった。現在、米国ではカトリック信者よりも無神論者のほうが多数派になってきている実態があるのだ。
その背景には、日本とは異なる米国の信仰形態がある。日本の場合は「イエ」で宗教を継承していくことが多い。だが、米国では親や夫がカトリックだからといって、子供や妻までカトリックを信じるとは限らない。
特に現在25歳から40歳のミレニアル世代の教会離れは顕著である。彼らはITリテラシーに長けており、旧来からの教会のつながりよりも、インターネット(SNS)を通じた無宗教コミュニティーを求める傾向にあるとの分析もある。
ヨーロッパでも教会離れは加速している。国によって原因は異なるものの、例えばフランスやイギリス、アイルランド、オーストリアなどでは聖職者による性的虐待問題が大きく影響している。
性的虐待は21世紀に入ってから社会問題化した。フランスでは独立委員会が先月、1950年以降に虐待に関わったカトリック教会関係者が最大3200人にも及ぶことを明らかにしたばかりである。
ドイツでは教会税から逃れたいという理由で、教会からの脱会が相次いでいる。同国では教会に所属するキリスト教徒である場合、所得税の8~10%が教会税として課される。日本に置き換えれば、どこかの菩提寺の檀家であれば「寺院税」を支払う義務が発生するということと同じ。この教会税逃れのためこの数年、毎年20万人以上の信者が教会から離れている。
教会がジリ貧になった結果、教会が売りに出され、替わってイスラム教のモスクが入るという事態になっている。